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怪奇事件縁側日記「籠の中の鳥」23

さてさて、かごめかごめの解説と鶴姫様の正体はこの辺で明らかに。
次とその次ぐらいでこのお話も終わりになるかと思います。

では、どうぞ。

怪奇事件縁側日記 夏・1
「籠の中の鳥」

『これは予測でしかないのだけれど、「かごめかごめ」とは「囲め囲め」、つまり侍が自分たちを包囲する状況。
「籠の中の鳥」とは文字通り、屋敷から逃げ出しても追っ手に追われ、逃げ場を失った暁姫自身。小夕を含んでも良いかもしれない。
「いついつ出やる」はまぁ色々な解釈にあるとおり、何時になったらこの包囲から逃げられるのだろうかということ』
『待って。それって……鶴姫は今でも侍達の包囲から逃げたと認識していないってこと……?』
『いや……おそらくちがうな。ナズナさんの話を聞いて、自分でも整理していてやっと分かったよ。鶴姫はおそらく半分側では侍の包囲から逃げられたと理解している。けれども、もう半分が理解していないのと、二人の意志が現世に留まりたいと願っているから認識していないように思えるだけだ』
それはなんて悲しいことだろうと涼香は思う。自分が侍の包囲をもう突き破る必要がないのだと分かっていてもなお現世に留まりたいという願い。その願いの理由は何なのか。
涼香にはそんな状況はないし、そういう願いもないからその理由が分からない。
けれども、そうであるならばどうして村人達や生徒達を殺していったのだろう。
『鶴姫が現世にいたい理由は?』
『恨みだと思う。歌の解釈はこう続く。「夜明けの晩」とは現世に生まれ出でる……蘇る(夜明け)死んだ者(夜)のこと……いや、死ぬという状態を経験しておきながら、夕闇(夜)という死の時間に再び生まれ出でる……蘇るという生(朝)の行動をする状態。「鶴と亀がすべった」とは長寿や繁栄といったプラスイメージの生き物が自らそのイメージをマイナスにスライドさせる(滑らせる)ということ。つまりこのフレーズは「一旦死んだ自分が(鶴姫として)蘇り、鶴を使役して武家達の包囲網を破り、その恨みを甕にため込むように鶴姫という名の器にため込んでいく」と言うこと』
『甕……って亀?』
『そう。この解釈ならば鶴と亀は式神と鶴姫自身、縁起物の名を持つ者がそのイメージをマイナスにスライドさせた、と言うことになる。最後、「後ろの正面だぁれ」はさしずめ「見えない人から見ればあなたは1人でいるはずなのに、あなたを殺す私がいる。私はあなたの後ろにいるけど、あなたは私の正面にいる。かつて私を殺したあなたは、あなたを殺す私は一体誰?」というところだろう。殺される対象(侍)から見れば鶴姫は後ろにいるけれど、鶴姫から見れば侍は正面にいるからね』
『総合的な解釈としては、「屋敷から逃げ出して小夕と合流したのに侍達に囲まれてしまった。私たちは何時になったらこの包囲から出られるのだろう。一旦死んだ自分が鶴姫として蘇り、鶴を使役して侍を殺して恨みを自分にため込んで行く。見えないものから見ればあなたは1人で死んでいくように見えるけれど、実際には私があなたを殺すのだ。今でも私はあなたの後ろにいて、あなたは私の正面にいる。かつて私を殺したあなたがそんな風に私に背を向けるのはとても愚かなこと。そんな愚かなあなたは、そしてその愚か者を殺す私は一体誰でしょう?」……ってところ?』
『うん、そんな感じ。そういえば甕の話で鶴姫という名の器にため込んでいく、って言ったでしょ?』
『ええ。……それが?』
『その恨みを糧にして、“死んだはずの器”(=甕)を成長させるためにため込んでいく……っていう事実があったらどうだろう?』
『どうだろう、って……え?』
死んだはずの器、とブルームーンは書いた。それは話の流れから言えば肉体のことだ。
『死んだはずの器って……まさか死んだ人、ってこと?』
『そう。鶴姫は死んだ人間の身体を乗っ取ってこの世に存在している』
『ネクロマンサー、ってこと?』
『いや、無理矢理身体を生かしている維持装置、といったところかな。なにしろその身体の主人格は鶴姫じゃないからね』
『主人格って……』
鶴姫の器は多重人格とでも言いたいのだろうか。それとも、憑依している状態は多重人格状態のようなものだからそう表現しているだけなのだろうか。それを問うと、ブルームーンは後者だと言った。
『ある所に生まれた赤ん坊は死んでいたけれど、それを鶴姫が入り込むことによって生かし続けた……そんな所かな』
『それで……鶴姫に何のメリットがあるの?』

「……どういうこと?」
唯奈は某掲示板を見ながら眉根を寄せた。数分前からブルームーンによってもたらされた内容があまりに奇抜だったためである。
夕方、人が殺されるときに流れる歌が「かごめかごめ」で、殺人の犯人が鶴姫様(というよりは暁姫と小夕)なのはまだ良いとしよう。
しかし鶴姫達が「かごめかごめ」を自分なりに解釈したから殺害時に歌が流れるとはどういうことだ。
『鶴姫達はかごめかごめを解釈した。自分たちに都合の良いように解釈した。だからその唄は、彼女たちが歌った瞬間に彼女たちのものになったんだ』
『さっぱり分からないわ、ブルームーン。自分なりの解釈をすることができたからってそれがどうして鶴姫様達のものになるの?』
ヴィオレッタがブルームーンに問いかける。それはそうだろう。白露は彼の情報源を知っている。けれどここまで話が飛躍してしまっては分からない。
情報元はおそらくナズナ……涼香だろう。涼香はブルームーンと親しい。故に情報は持っているのだろうが、ここまで飛躍しているのは知っているのだろうか。
『ヴィオレッタ。かごめかごめは彼女たちにとっては呪いの歌だったんだ』
『呪いの歌……まさか言霊とか言うつもりじゃあ……』
メイプルがそう書き込む。
「言霊……」
言葉を実際に口に出すと魔力が宿る、という考え方だ。
『正解。まさに言霊だ。かごめかごめを自分たちの解釈によって歌い、彼女は鶴を使役することが出来た。そして言霊によって、彼女は自分の器に恨みを溜めて行くことに成功している。……死んでいるはずの肉体に、命を宿らせることを、ね』
『鶴姫にとって何らかのメリットがある、そういうこと?』
fluteが問う。いや、これは確認か。
(明日華ちゃん、ナイス)
『そう。さっきナズナさんと話していて気がついたんだ。どうして今回の事件だけこうなのか』
『今回の事件だけこうなのか……って、今回の事件だけ神隠しじゃなくてれっきとした殺人事件だったのかってこと?』
『そう。白露は知っているのかな?』
『いえ、少し前に聞いただけだから……』
そうお茶を濁すと彼はそう、と返してきた。
そうして、彼はどこの住人にも分かるように宣言する。

『僕は一つの結論にたどり着いた。鶴姫が今回死体を隠さなかったのは分かったからだ』
『彼女は自分が殺した死体では器になり得ないと悟った。だから生まれる前に死んだ赤ん坊に取り憑き、自分の魂を裏人格のような位置づけで宿らせることによってその赤ん坊を生きながらえさせてきたんだ』

『そして、その赤ん坊こそが「かごめかごめの鶴姫様」の今の姿だ』

「……え……?」
『猛威を旅の僧侶によって封じ込められた鶴姫はその後、若嶋村の娘である「つう」に取り憑いた。この娘はれっきとした生きた娘だったのだが、彼女はかごめかごめを夜な夜な歌っていたという伝説がある。その娘は同じ若嶋の男と結婚し、「つう」の家系は明治の頃になると鶴神家という家名になった。しかし鶴神家も長くは続かず、関東大震災で娘1人を残して死に絶えてしまった。その娘はやがて若嶋の籠原家という家に嫁いだ』
「まって……」
籠原家?
どこかで聞いたことがある名前だ。
でもどこで?
心当たりはありすぎるほどなのに、全く思い出せない。無意識に伸ばした指先がかつんと携帯電話に当たる。
『籠原家では男児が生まれ、その後その男児と松原という家の娘の間に女児をもうけた……』
「あ……それって……まさか……」
思い出す。1人だけ、心当たりがいる。
――“初めまして、2年の籠原です。”
優しい声が蘇る。
『しかしその女児は不思議な現象を経て生まれてきたという。女児の生まれたときは満月が煌々と照っていた夜だった。母親が産み落とした赤ん坊は息をしておらず、産声も聞こえなかった。看護士がどんなに力を尽くしても赤ん坊の産声を聞かせることは出来なかった』
つまりは死産。両親はさぞ嘆き悲しんだことだろう。しかし女児をもうけた、とブルームーンは言わなかったか?
『しかし看護士が諦めようとしたその瞬間、母親の産室にもやのようなものが飛び込んできた。もやは一直線に赤ん坊を目指し、ぶつかる直前に女の形へと変化した』
女の形をしたもやは赤ん坊の頬を撫でて、いい子、と言ったのだそうだ。それから空気に溶けるように薄れて、赤ん坊の中に入っていったらしい。
それが本当なら、彼女は、と口の中が乾いていくのを感じる。
『赤ん坊はすぐに息を吹き返し、産声を上げた。その伝説めいた生まれ方から、女児は雅と名付けられた……鶴姫のメリットは雅だ。彼女は元々この世に存在しないはずだった。姫が無理やり体を育て、巫女が守っているに過ぎない。なぜそんなことをするかと言えば、彼女はこの若嶋の地に復讐をしたいんだ。そして、自分は生きていたと実感がしたかった。そのために雅の身体を持つことが必要だった。籠原雅という存在は鶴姫の操り人形だったんだ』
「そんな……」
頭を強く殴られたような衝撃。どうしたらいいのか分からない。
雅が鶴姫。
(でも……あり得るかもしれない……)
彼女は時折ぼうっとしたように固まっていた。時折話題からずれた発言をした。それもその筈だったのかもしれない。
彼女の中には籠原雅という魂と鶴姫という魂が存在していたのだから、おそらく同期化でも行っていたのだろう。
『今までの神隠しは彼女が死体に乗り移りたかったため。最初から死んでいる雅の居心地も良かったけれど、籠原家はまあまあな資産家だ。自由がきかなかったのかもしれない。だから他に乗り移る人間を捜して殺して乗り移ろうとしていたが、上手くいかなかったんじゃないかな。だから殺した人間は全て自分の鶴にしてそのまま雅に留まり、今回の事件は神隠しをしなかった……』
『じゃあ……鶴姫は……』
『巫女の部分は分かっているだろう。自分が殺しているのがいったい何なのか分かっていないのは暁姫だ。……誰でもいい。僕の話を真実だと思ってくれるのならば』

『3人を解放して、常世の国へ送ってやってくれ』
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テーマ : 連載小説 - ジャンル : 小説・文学

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紅崎姫都香

Author:紅崎姫都香
誕生日:4月28日
血液型:A
趣味:小説書き、イラスト描き、楽器演奏
年齢:23。
好きな物(漫画と小説):いろいろ。ツイッターと二次創作ブログでいろいろ書いてるのが好きです。
カップリングもいろいろです。二次創作してるのが主な萌え。
色々なネタで呟きます→@kurekito

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