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怪奇事件縁側日記「籠の中の鳥」19

お久しぶりです。コミケ行ったり旅行行ったりしてました。
さて、そんなわけで「籠の中の鳥」の続きです。もうすぐ核心部分が出てくるかな?
では、どうぞ。

怪奇事件縁側日記 夏・1
「籠の中の鳥」

翌朝、夜明けを待って涼香達は裏庭へと急いだ。
「この辺りよね……」
「うん……あ、これ」
唯奈が砂利道を指さす。そこには木製のヒトガタが落ちていた。いや、ヒトガタだったもの、と言った方があっているか。人の形をしているはずの木の板は頭部が何かに割られたように欠けており、その頭部の板はすぐそばに転がっていた。そしてその傍らに散るのは白い白い、鳥の羽根だった。涼香達は顔を見合わせる。
「どういう事よ……つまり?」
「昨日のは本当って事……かなぁ?」
「何のトリックを使った手品でもないってことじゃない?」
「じゃあ、鶴姫様って事ね……」
では、鶴姫様とは改めて何者なのか。それが次の課題になりそうだった。

「どうしよう……これ、完璧な心霊現象だわ」
白い鶴が体を切り裂くなど、超常現象の類だ。心霊現象だ。
「そうね……こんなの都市伝説だって思ってきたけど、いざ自分の目で見ちゃうとね……」
「認めざるを得ない?」
「うん……明日華ちゃん?」
唯奈が怪訝そうな眼差しで涼香の背後を見つめる。確かに何かが引っ付いているような感じはしているが、振り向く必要はないだろう。
「明日華。いつまで引っ付いてんのよ」
いい加減に離れろ、と言外に込めてみれば、相手はますますしがみついてくる。
「ちょっと明日華!」
「やだぁ……涼香、私こういうのだめだって分かってるのにぃ……」
「自業自得よ。いつまでコアラの子供やってるつもりよ!」
さすがに背中にしがみつくコアラの子供もどきが鬱陶しくなって引き剥がす。
すると明日華はうきゅう、だかふきゅう、だかと奇声を上げておとなしく丸まる。
それがおもしろくて、涼香は明日華の襟首を掴みながら唯奈と優に向き直る。
「明日華ってさ、怪談話ダメなのよね」
「え、意外だなぁ……」
「fluteはそうでもなさそうなのに」
「だからfluteは自業自得なのよ」
fluteは明日華のハンドルネームである。が、fluteが見せる情報屋らしいカルトネタを明日華が好きかといえばそうではない。
「オカルト特集の番組みた晩なんか私の布団に潜り込んできたじゃない?」
「それを言わないで~!」
ため息をついて、泣きつく明日華の頭を撫でてやる。
「まぁまぁ、とにかく心霊現象だったら知り合いにエキスパートがいるんだけど、みんなで会いに行ってみる?」
唯奈の提案はこれ以上無いほど魅力的だった。

「ね、ねぇ……ここなの?」
ホームルームが終わってから唯奈に案内された家は入るのを躊躇するほど古びた一軒家だった。
彼女の知り合い、とやらの素性が気になるが、とりあえずそれどころではない。
やっぱり止めようなどと言い出す者もいなかったため、一同はそのままチャイムを鳴らして待つことにした。
ややあって玄関の扉が開く。
「はい、どちら様……って唯奈ちゃんじゃないか。お友達も一緒なんだね」
出てきたのは意外にもメガネをかけた爽やかそうな青年だった。半ばあばら屋のような家に、爽やかそうな青年がいる、というのはなかなか絵になるもので、涼香はきょとんとその青年を見上げた。
「桃原さん、久しぶりね。……今日はちょっと、頼まれて欲しいことがあるの」
「頼まれて欲しいこと?」
「ええ。後で話すわ。……この人、桃原竜哉さん」
青年……桃原竜哉はニコニコと挨拶した。
「初めまして、桃原竜哉です。……可愛い女の子ばかりで嬉しいな」
「は……はぁ……」
唯奈がくすりと笑って付け足す。
「桃原さんはオカルト趣味が高じてこんなところに引きこもっているのよ」
「失礼だな唯奈ちゃん。僕は小説家だからね、自分の仕事場がないとどうにもならないんだよ」
「……あ、それ、わかります」
仕事場がないと集中できない、というのは涼香にも分かる。が、同意してしまったのが運の尽きだった。
「だろ?分かってくれる人がいて嬉しいよ!君、名前は?」
ぎゅっと手を握りしめられて、涼香は一歩後ろへ下がる。
「……室宮涼香です」
「君は何か芸術をやっているのかい?」
「は、はぁ……絵を少々」
少々なんてもの?と明日華が茶化してくるが気にしない。いや、気にする暇がない。爽やかな好青年のイメージがガラガラと音を立てて崩れて行くが、それを気にしている暇もない。面白い物を見つけた子供のようなキラキラした瞳で俗に言うイケメンに見つめられるのはとても居心地が悪いのである。唯奈が笑いながら諫める。
「桃原さん。ダメよ、涼香ちゃんは彼氏がいるんだから」
「いや、いないから」
まるで諫めにもなっていない台詞に冷静に突っ込むと、竜哉は心底面白そうに笑い出した。
「うん、面白い面白い!」
そして再び涼香の肩に手を置いてこんな事をのたまった。
「君、ちょっと僕の催眠術を受けてくれる?」
「……はぁ?」
「いやぁ、ちょっと練習しててね、ちょっとだけだから!」
「……それより、今日はちょっとご相談がありまして……」
明日華が割り込むと竜哉は今度は彼女に顔を近づける。
「ほうほう、何かな?」
「ちょっ……近……あの、菊花学園の……」
「あぁ、失踪事件?そう言えば最近も起きてるらしいね」
「そ、それで、その……近い近い近いっ!」
さらに顔を近づけるので明日華が嫌そうに竜哉の顔を押しのける。まぁ、鼻先が触れ合うような距離にまで近づけば当然のことだろうが。優が慌ててフォローを入れる。
「あのですね、その……件っ……」
今度は優へと近づいた竜哉の顔を笑顔で押しのけながら、彼女は何とか続ける。
「その件で、鶴姫様の全体像を知りたいなぁと」
「なるほど。……それなら僕が適任だね」
「そうでしょう?ですから唯奈ちゃんの伝手でおたずねしたんですが……」
ほう、とようやく竜哉は優から顔を離した。
「じゃあ涼香ちゃん、やっぱり僕の催眠術を受けてくれるかな」
「はぁ……って、ええぇぇぇ!?」
「私、桃原さんに彼女が出来ない理由分かったわ」
唯奈がぼそりと呟いた。
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テーマ : 連載小説 - ジャンル : 小説・文学

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紅崎姫都香

Author:紅崎姫都香
誕生日:4月28日
血液型:A
趣味:小説書き、イラスト描き、楽器演奏
年齢:23。
好きな物(漫画と小説):いろいろ。ツイッターと二次創作ブログでいろいろ書いてるのが好きです。
カップリングもいろいろです。二次創作してるのが主な萌え。
色々なネタで呟きます→@kurekito

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