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潜入捜査のエトセトラ1

お久しぶりの新作です。というか、去年の夏かそこらに「誘絵巻」の淺葉さくらさんにネタ的なOKをもらって書いた、「杉田真由子の探偵日記」のメイド喫茶物です。
恋愛要素も推理要素も全くない、ただのギャグです。
それでは、どうぞ。

杉田真由子の探偵日記
「潜入捜査のエトセトラ~メイド喫茶盗撮事件日記~」

突然だが、杉田真由子は探偵である。
探偵にとって何番めかに大事なものが依頼である。ついでに依頼人である。
当たり前のことではあるが、いつの世も依頼というのは探偵にとって貴重な収入源である。
特に他にこれといった収入の無い者ならば尚更のことだ。
そんな探偵のところに依頼という名の獲物が飛び込んできたら通常料金なり割増のそれなりで受ける他はないのである。
それがたとえ、とんでもなく面倒くさい依頼であっても……。

杉田真由子の探偵日記番外短編
「潜入捜査のエトセトラ~メイド喫茶盗撮事件日記~」

からんからん、と入り口のベルが鳴った。真由子はスカートを翻して入り口に向かう。客の姿を見つけると正面に立つ。ちょんとスカートを摘んでお辞儀した。
「お帰りなさいませ、ご主人様!」
「あ、あぁ……って……」
客である女性2人連れ、もとい紅河みさき警視と礼波紅音警部の顔が引きつる。
「真由ちゃん、何でこんなところにいるのよ!」
「とりあえず個室にお連れいたしますね。これ仕事だし」

メイド喫茶『プリマヴェーラ』。つい最近探偵事務所の近くにオープンしたいわゆる萌え系メイド喫茶である。
その個室に真由子たちは詰めていた。
「どういうことなのか説明してもらおうか」
一口レモンティーを啜った紅音が口を開く。
「え、見れば分かるじゃないですか。メイドさんです」
真由子の格好は白を基調としたフリルがこれでもかと付いているエプロンドレス。いわゆるメイド服である。ただし、本職のメイドとして働くには些かふわふわしすぎという感覚は否めないが。
「似合いませんか、これ」
「似合う似合わないの問題じゃねえよ。何でおまえがこんなところにいるんだよ」
「潜入捜査です。依頼を受けましてね」
「もしかして盗撮犯?」
「うぃ。盗撮犯をボコボコにしてくだしあとのご依頼でしてね」
そう言いながら真由子は着けていた茶髪のツインテールウィッグを取る。蒸れていた頭皮が涼しい。
「そんな依頼だったか?」
紅音は甚だ疑問だといった風に頬杖を付いたが、みさきは優雅にアールグレイを呷る。
「いいんじゃないの?ついでに調教しちゃうんでしょ」
「調教って、お前……」
紅音は携帯電話を取り出して事務所に連絡する。真由子がいなくともほかのメンバーがいる可能性があるからだ。が、彼女は数分後には諦めたような顔をして電話を切る。
「どうしたの?」
「……朱宇が最初に出たんだがな、満場一致で真由子に決まったんだと」
「あら」
「ついでに洸が楽しそうだから良いじゃないですか、とのことだ」
「ま、それ以外言いようもないものねぇ……」
「して、みさきさんと紅音さんはどうしてここへ?まさか私にご奉仕されるためじゃないでしょ?」
今度は真由子から聞いてみる。
「オーナーからやっぱり相談受けてね。紅音でも潜入捜査に入れてみようかってことになったわけ」
「ふぅん……オーナーが私じゃご不満だった、とかじゃないですよね」
「それはないだろ。逮捕だか補導だかを頼まれたんだし」
ならいいです、と真由子は返す。
「とりあえず私盗聴器とか着けてるんで、何かあったらよろしくお願いしますね」
「了解。……で、オーナー呼んできてくれるか?」
「了解です。とりあえず私仕事に戻りますね」
真由子はそう返事をして部屋を出た。

翌日から紅音が捜査に入ってくれた。真由子と同じくウィッグを着けてはいるが、輝かんばかりの美貌のせいで変装になっているのかどうかは甚だ怪しい。
「ユキノちゃん、五番テーブルよろしく~」
「はぁい」
「ヒナカちゃん、七番テーブルにこれお願い~」
「了解」
それぞれ仕事が入り、ユキノとヒナカ、もとい真由子と紅音は小さくハイタッチを交わした。
「打倒盗撮犯!」
「とりあえず目指せ調教!」
「それは止めろ」

そんなある日のことである。同じメイドのサユリが店内をキョロキョロと見回して、真由子に耳打ちした。
「ユキノちゃん、八番テーブルのお客様、なんか変じゃない?」
言われて八番テーブルを見てみると、成る程白いポロシャツにジーンズの男がしきりにメイドたちを眺め回している。
「盗撮犯の特徴は?」
「んと、ちょっとイケメンっぽくてオシャレ。漫画なんかに出てくるオタクの服装じゃないわね」
「最近オタクが迫害されてる気がする……で、カメラか携帯の機種は?」
「えーっと、携帯で確か黒だったわね。機種はたしか……」
うーん、とうなった末にサユリは写真の写りがよいと評判の機種を教えた。
「りょーかい。じゃあちょっと行ってくるわね」
サユリのそばを離れて、真由子はカフスに向かって囁いた。
「こちら偵察隊。ターゲットを確認。接触し次第調教に入る」
事務所の朱宇が答える。
『了解。気をつけてくださいね』
「ありがとう。紅音さんにも知らせておいてね」
『了解。そっちは多分姉さんがやってくれる』
朱宇の返事の後に朱奈のまかせといて、という声が入る。真由子は小さく了解、と返すとメニューを持って八番テーブルに向かった。
近づきながら客の様子を観察する。
顔はどちらかといえば良い方に入るだろう。ポロシャツとジーンズは清潔感があって好感が持てる。
髪型はどこかのアイドルグループにいそうな清潔感溢れるショートカット。
体型はどちらかといえば細身。
とてもメイドさん萌えの盗撮魔とは思えない。なるほど、従業員達が話題にするわけだ。
こんなところでメイドさんのスカートの中身を追いかけ回していなくとも寄ってくる女の子は沢山いるだろうに、とてもなんだか惜しい気がする。
――ま、色々勘違いしているんでしょうけど。
「お帰りなさいませご主人様、こちらメニューでございます」
とびきりの営業スマイルと元気の良いご挨拶でメニューを渡す。客の男はまず真由子の顔を見て、それからスカートの裾に目を移した。真由子のメイド服のスカートは膝上数センチである。さぞかし盗撮にはもってこいだろう。
「君の名前は?」
「嫌ですわご主人様、忘れちゃったんですか?私ユキノと申します」
「ユキノちゃん……ね。じゃあ注文の時は君に頼もうかな」
余談だが、盗撮犯は注文をしている時にシャッターを切るのだとオーナーが言っていた。全く困った男である。
――ともあれ、かかった。
あとは調教だけである。
それまではずっと我慢。
そして、その時がやってきた。
「ユキノちゃん、八番テーブルのお客様の注文取ってきて~!」
はぁい、と返事をしてハンディターミナル(注文を取る機械)をひっさげて八番テーブルへと向かう。
「お待たせ致しました、ご注文をお伺い致します、ご主人様」
盗撮犯は『メイドさんの手作りアイスコーヒー(アイスコーヒーの上にハート形のバニラアイスが乗っている品である)』を注文する。
「『メイドさんの手作りアイスコーヒー』がお一つ」
「あとは『季節のらぶらぶケーキ・ツンデレ風』を一つ」
真由子がハンディターミナルを弄っている間に男の腕がスカートの裾に伸びた。カメラ代わりの携帯電話を太股でがっちりと挟み込む。
「『季節のらぶらぶケーキ・ツンデレ風』をお一つ……ご主人様、このフロアでそのような行いはおやめください」
スカートの裾だけを見ていた男がこちらを向く。営業スマイルで迎撃して、レンズから完全に逃れた。
「何のことかな?」
「サービスなら別室でして差し上げますわ」
言っていて吐き気がする内容だ。真由子だって出来れば変態なんかと同じ部屋に閉じこめられたくない。が、お仕事である。
くどいようだが、お仕事なのだ。
近くを歩いていたメイドにハンディターミナルを渡す。
「八番テーブルのお客様のご注文、『ご主人様の執務室』までヒナカちゃんに持ってきてもらって」
「はぁい。ごゆっくり!」
「了解。『ユキノのシークレットタイム』入りま~す!」
むろんメニューにはそんなものはない。だから個室に連れて行くまでに何人かの客からシークレットタイムについて聞かれるが、全て営業スマイルで誤魔化した。
「内緒、です。だってお教えしたらシークレットじゃなくなっちゃいますよぉ」
そう、シークレットでなければならないのだ。
ついでに他の客に出すことはまかりならない。なぜならこれは引き回している男専用のメニューなのだから。

『ご主人様の執務室』に男を連行して扉を閉めると、真由子は口を開いた。
「さて、ご主人様。スカートの中身の撮影は当店の規約で禁じられておりますが、反省の意志はおありですか?」
「あぁ、うん、悪かった悪かった。もうしないよ」
おざなりな盗撮犯の台詞に彼女はにやりと笑う。
「ではご主人様、今からお仕置きをして差し上げますわね」
「悪かったって言ってるだろ?」
「だまらっしゃい!あんたが盗撮の常習犯だってことはもう分かってるんだからねっ!」
ゆっくり取り外したウィッグからヘッドドレスだけをとって今度こそ自分の頭に装着する。
「ユキノちゃんの茶髪は地毛じゃなかったんだね……いけない子だ」
にやにやといやらしく笑う男の顔を蹴りたくなる衝動を堪えながら営業スマイルを作る。
「あら、随分余裕のようですわね、ご主人様?」
スカートの裾をたくし上げる。
「お仕置きするのは僕だからね」
「それはどうかしら?」
メイド服の中に忍ばせたものを抜き取って、思い切り床にたたきつける。ぱしぃん、といい音がして男が仰け反る。
「さぁ、ご主人様?……制裁食らって別の世界に目覚めるが良いわ!」
ぱしん、ともう一度それを、今度は男の肩すれすれに振り下ろす。
「め、メイドが何で鞭なんか持っているんだ!?」
青ざめた男の台詞に真由子は持っていたそれに口づける。
黒くて細いステッキの先に柔らかくて細い紐が付いているそれは、間違いなく鞭である。
だが、それがどうした。
「何か問題でも?」
「メイドってのは主人に絶対服従だろう!」
「だって私、メイドじゃないもの」
そう言ってメイド服のリボンを解く。
その下から現れたのは黒のタイトミニスカートに同色のトップス。
紛う方なきボンデージファッションである。
「メイドじゃなくて……そっち!?」
「そんなわけで、女の子のスカートの中身を撮ったこと、存分に後悔しながらお仕置きをうけなさぁいっ!」
「うわぁぁぁぁっ!」
ひゅん、とまた鞭の風を切る音が響いた。

紅音が『メイドさんの手作りアイスコーヒー』と『季節のらぶらぶケーキ・ツンデレ風』をワゴンに乗せて『ご主人様の執務室』まで来ると、中から鞭が風を切る音が聞こえてきた。
「あぁ……またみさきの悪影響が出たか……いや、玲か」
非常識鑑識チームの一番非常識な部分が真由子に影響したなと溜息を吐く。
とはいえ、自分も常識に従って生きているかどうかは怪しいので紅音はとりあえず非常識の先鋒の名前を挙げておく。それから覚悟を決めてドアをノックした。
「お待たせ致しましたご主人様、ご注文の品でございます」
さりげなくワゴンの上に拳銃と手錠を載せておくのを忘れない。それから手早くメイド服を脱いでワゴンの下の段に置いておく。
「はぁい、どうぞ~」
中から真由子の声が聞こえてきたのでドアを開け放つ。
「げっ……け、警察……!?」
「メイドに調教されて喜んでるそこのお前。盗撮容疑で現行犯逮捕する!」
「わぁ紅音さん、流石本職です!」
あわてふためく男の腹を足でぐりぐりと圧迫していた真由子がテーブルの上に座って楽しそうにぱちぱちと拍手する。そこに何ら悪意が含まれていないのを確認して一応聞いておく。
「何で私がコスプレしなきゃいけねぇんだよ」
「何となくです」
「身も蓋もねぇ答えだな、おい」
「いいじゃないですか。だってほら、盗撮犯さんも嬉しそう……ねぇ?嬉しいわよね?」
真由子が鞭を掲げてみせると、男は引きつったような悲鳴を上げてぶんぶんと首を縦に振った。彼女はそれが気に入らなかったらしく、柄で男の額をこづく。
「ほらぁ、あんたの口は何のために付いてるの?自分の言葉で言いなさいな」
「う、嬉しいですっ!」
もはや涙目で男がやけくそ気味に叫ぶと、真由子は楽しいと言わんばかりに高笑いする。
ひとしきり笑い終わって、彼女はとびきりの笑顔で男に向き直った。
「いい子ね。じゃ、行きましょうか」
「……やっと逮捕、か?」
「そうです」
密室で何があったのかは紅音には聞けなかったが、真由子の楽しそうな様子と男のどことなく嬉しそうな挙動から大体のことを察す。
――あぁ……したのか、調教……。
勝手に男に手錠を掛けてメイド服を再び着始める真由子にくっついている男に犬耳と尻尾が見えたような気がして、紅音はもう一度溜息を吐いた。

ともあれ、こうしてメイド喫茶『プリマヴェーラ』での盗撮騒ぎは幕を閉じた。
歩いて事務所に戻りながら、ふと紅音が口を開く。
「お前さ、調教しただろ」
「しましたよ?」
「誰の影響だよ」
「非常識鑑識チームの皆さんです」
事実をそのまま答えると、紅音はあぁ、と頷く。
「まぁ、仕方な……って私もか!?」
「モチのロンですが何か」
「本当、悪影響なことしてるよな……」
やっぱり溜息を吐く紅音に真由子は首を傾げた。
「影響って言うか、真似っこしたのはありますけど、そんなに悪影響ではないですよ?」
「は?」
「だって私、サディストですし」
「え!?」
「杉田のSはドSのSです」
「……お前、それ、絶対外で出すなよ、その本性!」
杉田のSはドSのS。
弄られて喜ぶ趣味なんて全くないが、弄って喜ぶ趣味ならある。
けれどそんな趣味をそう易々と見せてやる趣味も全くない。
そんなわけで真顔で真由子に忠告する紅音に笑って頷く。
「大丈夫ですよ」
「本当だろうな?」
「ええ。だってそんなに簡単に見せたらありがたみがなくなるでしょ?」
そう言う問題じゃねぇよ、と紅音のツッコミが入る。
2人で漫才をしながら歩いた帰り道は、とても晴れていた。

おわり

参考
ハンディターミナル http://questionbox.jp.msn.com/qa4346554.html
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テーマ : 連載小説 - ジャンル : 小説・文学

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プロフィール

紅崎姫都香

Author:紅崎姫都香
誕生日:4月28日
血液型:A
趣味:小説書き、イラスト描き、楽器演奏
年齢:23。
好きな物(漫画と小説):いろいろ。ツイッターと二次創作ブログでいろいろ書いてるのが好きです。
カップリングもいろいろです。二次創作してるのが主な萌え。
色々なネタで呟きます→@kurekito

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