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怪奇事件縁側日記「籠の中の鳥」6

とうとう21になりました。
あと今日サークルで新歓コンパに行って来ました。一年生と同化していた自分が悲しい。
そんなわけで縁側日記の続きです。
では、どうぞ。

怪奇事件縁側日記 夏・1
「籠の中の鳥」

『こんばんは、ブルームーン。よくも私を話のネタにしてくれたわね』
ナズナとして涼香はメッセンジャーに書き込む。
すぐに相手……ブルームーンから返事が返ってくる。
『こんばんは、ナズナさん。ネタだなんて酷いなぁ。みんな君のことを知りたがっていたから知らせただけだよ』
『あら、じゃあありがとう、かしら?何しろ私が書き込む手間を省いてくれたんだものね』
『それはちょっと困ったことになったなぁ』
他愛もないやりとり。こんなのは世間話の範囲内だ。
さっさと本題に入ってしまえば楽なのに、ナズナはこの他愛もないやりとりが終わるのを少しだけ惜しんでいた。
『さて、本題に入ろうか』
『ええ。殺人事件について、とかかしら?』
『烏丸洋子の事件かい?』
『察しが早くて助かるわ。私はあの時間、友達と校舎内にいた。けど悲鳴なんか聞こえなかったわよ?』
『うん、確かにそうだね。悲鳴が聞こえたら部活の誰かがもっと早く発見しているだろう』
『ってことは、悲鳴の聞こえないような殺し方をされた、というところ?』
『おそらくね』
「絞殺か毒殺?」
そうでなければ睡眠薬か。
いずれにせよ、涼香は烏丸洋子の殺され方を知らない。いや、知っているのは教師や警察、第一発見者に犯人ぐらいなものだろう。
『そういえば知り合いが歌が聞こえる、って言ってたんだけど……』
『歌?』
『そう。何人かが歌ってるんだけど、その内容が分からないって』
『歌か……ナズナさんはどう?』
聞き返されて首を傾げる。涼香に歌は聞こえない。
それを送信すると、ブルームーンはすぐに答えを返してくれる。
『そうか……僕も聞こえる訳じゃないんだよね。何人かそういう知り合いにあたってみるよ』
その書き込みを見た瞬間に涼香はあることを決めた。
『分かったわ。私の方も調べてみる。何か分かったらここに連絡頂戴』

「お嬢さん、何か考え事でも?」
その声にふっと意識を浮上させる。声の方に顔を向けると、何かと唯奈に構ってくる男がいた。
「何でもないわ。いつからいたの」
「ついさっきです。何か心配事でも?」
「別に無いわ」
男はそれならいいんですが、と微笑む。
「私はお嬢さんの遊び相手ですからね。何か鬱憤ばらしでもしたいときは玩具にしてください」
「……嫌よ。私、玩具と付き合いたくないわ」
「失言でした。すみません。……でもお嬢さん」
「何?」
「何があっても、私はお嬢さんに付いていきます」
「……花菱……」
唯奈は少しだけ呆然とした。
花菱衛は確かに誰よりも唯奈の近くにいた。
だから唯奈のことを誰よりも知っている。
自分を補佐してくれるのにこれほど頼もしい人間もそうそういないだろう。
ありがとう、と言おうと口を開いた瞬間、花菱がへらりと軽薄に笑った。
「まぁ、お嬢さんはドジな方ですから目を離せない、ってのもあるんですがね」
前言撤回。言うに事欠いてドジだから目を離せないとは何事だ。
「ひどいわ花菱、私だって一生懸命やってるのにっ」
「だってお嬢さん、この間も何もないところですっ転んでたじゃないですか」
「うーっ!どうしてそういう事言うのよぉ!」
思わず立ち上がった瞬間にローテーブルに臑をぶつけた。
「ったぁ~っ!」
「ほら、いわんこっちゃない。大丈夫ですか?」
「大丈夫、うん、大丈夫」
あんまり痛くて視界が滲む。花菱の本気で心配したような顔が少しだけ嬉しくて、唯奈はそんな自分が少しだけ辛かった。
「で、お嬢さん。考え事はおしまいですか?」
「ええ。……考えていてもキリがないし……あ」
「何です?」
「ねぇ、花菱、あんたうちの学校の出身よね?」
「……お嬢さん、出身もなにも私は三月で菊花学園大学の卒業生になったんですが……話したでしょ?」
残念そうに彼はため息をついた。
そういえばそんな話を聞いたが、普段はどうでも良いこととして聞き流していたのだった。
「あ、ごめん、忘れてたわ」
「そうでしょうね。お嬢さんにとってはどうでも良いことですよね」
「やだ、いじけないで……ごめんってば」
「いえ、いいんです。で、それがどうかしましたか?」
「うん、あのね、歌が聞こえたりした?この時期」
「この時期、ですか……あぁ、集団仮病ですか?」
「!集団仮病……!?」
集団仮病。
みんなで示し合わせて仮病をつかうことか。
「この時期になると原因不明の体調不良で休む奴が増えたんですよ。
大学とか中学ではそんな事はなかったんですがね」
「何てこと……」
唄と原因不明の体調不良。関係がわからなかった。

明日華はベッドから隣の涼香の家を見る。
明かりは付いているけれど、なんとなく行きかねた。
迷惑を掛けるだけかもしれないし、何より情報収集中だったら都合が悪い。
「お嬢さん、どうかなさいましたか」
不意に聞こえた声にドアの方を振り向く。ドアは開けっ放しで、そこには先月入ったばかりの新米弟子が立っていた。
「何でもない。何かあったの?」
「それが、その……」
「何?母さんが呼びつけたわけ?」
ノックもなしに部屋に入られたのがたまらなく不愉快で、声は自然と刺々しくなる。新米は怯えたようにひっ、と悲鳴を上げると、半ば裏返った声で用件を告げた。
「ち、違います……お嬢さんに、あの、いろいろ教えていただくようにお師匠が……」
かちん、と何か不愉快の塊が胸にぶつかる音がした。彼に罪はないのだが、あんまりに不愉快だったので勢い声音は厳しくなる。
「あんたの兄弟子はどうしたのよ」
「あ、あのっ、皆さん、お嬢さんにお聞きするようにと」
「あいつら……っ!」
頭の中がかぁっと熱くなる。新米に怒鳴りつけそうになる自分を必死に押さえて、明日華はしばらく放っておいて、と頼んだ。
「そしたら聞いたこと、教えてあげるから」
「は、はい!……あ、あの、お嬢さん」
「何」
「その、あの、夕方の、菊花学園の裏庭、行っちゃダメです」
それじゃ、と部屋を出ようとする新米を捕まえて問いただす。
「大神、あんた何を知ってるの?全部吐きなさい」
新米・大神光一は明日華より年上のくせに眼を白黒させて狼狽える。いいから吐きなさい、と凄むと、彼はそのままの態度でこう言った。
「自分はお嬢さんに危ない目にあって欲しくないんです!あそこには幽霊が出るって噂なんですよ!見たら殺されるんです!」


歌。
何の歌かは全く分からない。
気づくと自分は夕暮れ時の砂利道に立っていた。
「何なの、ここ……」
不安、というのは少し正しくないかもしれない。赤い赤い夕日がシャツを赤い色に染め上げる。それがなんだか気味の悪い色に見えて、やだやだと首を振る。
「そんなバカなこと、あるわけない……」
けれど。
自分を鼓舞するために言った台詞なのに、何故だかぞくりと寒気が走る。
今月は7月のはずなのに、何故?
「--っ!」
不意にくい、と手を引かれて振り返るとそこには小さな子供がいた。小学生ぐらいの女の子である。
「あそぼ?」
夕暮れ時に、遊ぼうだなんてなんて恐れ知らず。自分はこんな砂利道で遊ぶほど暇でもないし、小さい子の体力についていけるか分からない。
「な……っ、え……か、帰らないといけないから」
その子はむ、と頬を膨らませてもう一度あそぼ、と繰り返す。
「お美代ちゃんもお志乃ちゃんも待ってるよ」
周りを見渡せば、小さな子供たちが自分を囲んでいる。
「え……いつの間に」
「遅れたんだから鬼だよ」
女の子はぷぅと膨らました頬のまま、子供の輪の中に戻ってゆく。
「え……」
「鬼なんだからしゃがまなきゃだめだよ」
別の子供から声が上がる。
「あ、わ、分かった。しゃがむから」
しゃがんで目を閉じると子供たちが歌い出す。懐かしい歌だ。
そういえば自分も昔はこんな風に遊んでいたっけ。
そこまで考えてからはっと気付く。
子供たちは着物姿だし、名前なんてわからない。じゃあ、自分は誰と遊んでいるんだろう?怖くなって、うっすら目を開く。
夕暮れの日差しが眩しい。
子供たちの白い足がくるくる踊る。着物はいつの間にか真っ白い木綿になっている。
「あ……何……これ」
くるくる、くるくる、くるくる、くるくる。
輪になった子供たちが回る。
その様がどこか呪術めいていて。
――怖い、怖い!
叫びたいのを必死でこらえる。
なんでこの子たちの目には光がない!?
――助けて!
「気付いちゃったの?」
「気付いちゃったね」
「残念」
「残念」
「ざぁんねん……!」
歌は止まないのにくすくすと無邪気に笑う声がさざ波のように広がる。
「でもお武家様が悪いんだよ?」
「お武家様……何のこと!?」
「お武家様はお武家様。……様を殺しちゃった、わるいひと」
「し、知らない、知らないっ!」
覚えのない話。
先祖が武家だった、なんて話は聞いたことがない。
「知らないということはないでしょう」
さらりと衣擦れの音がして、悲しげな声が響く。
「私を追いかけてきているくせに」
「知らないったら!」
叫んで振り向くと、そこは見知った景色はなく、小さな社がぽつねんと立っていた。
その社を背にして人が立っている。
「何……誰……?」
「ねぇ、お武家様。……私を追いかけてきたの?」
「違うったら!」
その人はさらさらと衣擦れの音を響かせて手の平を上にして右手をこちらに差し出した。その手の上には、白い鳥。
「しらとりの……あけにそまるは、たれゆえか……」
「……?」
悲しげな声が歌を紡ぐ。気味が悪くて逃げたいのに、足は一歩も動いてくれない。
「かこむうたいの……ひにおつるなり」
和歌を詠い終えたその人は白い鳥にふぅっと息を吹きかけた。するとそれは羽ばたいて空を舞う。空を舞って、その翼の速さが目に見えなくなって、……耳元で風を切る音が響いた。
それが自分が感じた命の最期。
地に倒れ伏した身体の首筋からは真っ赤な血が噴き出して砂利道を赤黒く染め上げていた。その赤に負けないぐらいに赤く赤く夕日が差し込む。
かぁごめ、かごめ……。
かぁごのなぁかの鳥は。
いついつでやぁる?
夜明けの晩に、つぅるとかぁめがすぅべった……。
後ろの正面、だ、あ、れ……?
返り血を浴びて微笑む着物姿の女と、狂ったように歌い続ける子供達を照らしながら、太陽は最期の輝きを見せたのだった。
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テーマ : 連載小説 - ジャンル : 小説・文学

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紅崎姫都香

Author:紅崎姫都香
誕生日:4月28日
血液型:A
趣味:小説書き、イラスト描き、楽器演奏
年齢:23。
好きな物(漫画と小説):いろいろ。ツイッターと二次創作ブログでいろいろ書いてるのが好きです。
カップリングもいろいろです。二次創作してるのが主な萌え。
色々なネタで呟きます→@kurekito

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