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「時風戦記」第3章ー1

お待たせ致しました、第3話です。
明日も学校なのに何やってんのかしら、私。
では、どうぞ。

「時風戦記」
第3話 HUMA LIA

lec tellen roa yeli mach mer
fis lec reaton yeli coa ald tee laci flear hera fastan roa
lec talen roa chia mirra
fis reaton larls viam lorno
yel bean wi mer tua, rodian meld, es tua
yel ashen farls, yel hirln ron lona
yel bean wi mer tua, rodia tale saily……
その詩を聴いたのはモーニの丘を通った時だった。
「何か聞こえるな」
白虎が耳をすませる。風に乗って聞こえてくるのは少女の歌声だった。その詩を修道女である月紗は知っている。
「礼拝歌だわ……教会があるのかもしれない」
「礼拝歌なのか?」
「ええ。私たちがよく詠っているんだけど……」
月紗が詠うそれとはメロディーも歌詞も同じなのに少し違う。
それを話すと紫音が首を傾げた。
「私が知っているものとは全然違うけど……」
「月紗、試しに詠ってみてくれ」
頷いて詩を紡ぐ。
「lec tellen roa yeli mach mer
fis lec reaton yeli coa ald tee laci flear hera fastan roa
lec talen roa chia mirra
fis reaton larls viam lorno
yel bean wi mer tua, rodian meld, es tua
yel ashen farls, yel hirln ron lona
yel bean wi mer tua, rodia tale saily
(慈しみの手のひらの中で私は眠ります
あなたの凍った時間と私の失った心が動くように祈って
大いなる愛の中で私は歌います
悲しい運命が切り開けるよう祈って
あなたは愛の守護神
旋律を紡ぐ女神
幸せだけを願う
全ての民を祝福する
あなたは愛の守護神
詩織りなす音)」
少女が詠っているものとメロディーも歌詞も同じだ。竪琴も弾いていない。
「確かに……少し違うな。どう、とは言い表せないが……」
「もしかしたら修行中の修道女が詠っているのかもしれないし、行ってみましょ」
言いあらわせない違和感は紫音のいう修行中か否かではないような気もするが、とりあえず詩の方角へと向かってみた。
暫く歩くと、小さな教会を見つける。
本当に小さな教会だ。素っ気なく煉瓦を積み立てただけの代物。
古くてボロボロだと言えばそう。
ただし、欠けた煉瓦に修復の後が見られることからとても大事にされていると言うことだけはわかった。
「歌声は……ここから……?」
「そのようだな」
扉をかすかに開けると、歌声が溢れてきた。
「lec tellen roa yeli mach mer
fis lec reaton yeli coa ald tee laci flear hera fastan roa
lec talen roa chia mirra
fis reaton larls viam lorno
yel bean wi mer tua, rodian meld, es tua
yel ashen farls, yel hirln ron lona
yel bean wi mer tua, rodia tale saily
(慈しみの手のひらの中で私は眠ります
あなたの凍った時間と私の失った心が動くように祈って
大いなる愛の中で私は歌います
悲しい運命が切り開けるよう祈って
あなたは愛の守護神
旋律を紡ぐ女神
幸せだけを願う
全ての民を祝福する
あなたは愛の守護神
詩織りなす音)」
歌声の主は月紗の予想通り修道女だった。聖像の前に跪いて、懸命に祈っている。
「あの……」
「……っ、は、はい!!な、なにか、ご用でしょうか?」
声を掛けると少女は弾かれるように振り向いた。狩人と剣術師の姿に怯えてか震える声に、こちらも戸惑ってしまう。
「いや、ええと……」
藤馬も言い淀む。もしかしたら教会を襲いに来た輩と思われているかもしれないことを不快に思っているのかもしれない。この分では自分たちがただの旅人だと分かってもらえるのは難しそうだ。
「あ、あのさ、この子が教会を見つけたからどうしても礼拝に行きたいって聞かなくて……」
白虎が取りなすように口を挟む。ほら、と背中を押されて月紗は少女と対面した。
「この方……ですか?」
相対した少女の修道服は至ってシンプルなもので、足首までの紺色のそれには襟と袖の切り替えし以外に飾りといった飾りは付いていない。
対して月紗の修道服は紫色で、肩口が開いており、胸元は襟を利用した窓が開いているし、腰の辺りからは黄色の布がひだになって紫の布の下に付いている。その紫の布の裾はいくつかのひだごとに纏められ、飾りが付けられている。
何より鎧があるのが相手の怪訝な眼差しの正体だろう。
「……修道女は住んでいるところや力によって修道服が違うの」
少女はむっとしたようにそんなの知ってます、と返すが、やはり自分と違う装いの同業者が気になるらしく、しばらく不躾な視線を向けられる。仕方のないことだが、じろじろと見られるのはやはり気持ちの良いものではない。
「月紗、もしかして修道女だと思われてないんじゃ……」
紫音が囁く。月紗も囁き返す。
「多分ね……セリアさまが来てくれれば一番良いんだけど」
少女が口を挟む。
「あの、本当に修道女なのですか?」
修道女なのかは怪しいので認められない、といったところか。
「そうよ。私は月紗。前はランツェルにいたわ。なんなら修道女である証拠に礼拝歌を詠ってみせてもいいわ」
「そこまで仰るなら信じますが……修道女がそんな、武器を持つような輩と旅をするなんて……」
「お嬢さんは俺らがここにいるのが気に食わない、と?」
「……いえ。奥へ、どうぞ。ここモーニの丘の教会で修道女見習いをしております、マリアと申します」
少女、もといマリアは軽く礼をすると奥の応接室へと引っ込んだ。

応接間はソファとテーブル以外何もなかった。白い壁紙が張られているだけで、何とも殺風景である。
「どうぞ」
出された茶はお世辞にも濃いとはいえなかったが、せっかくなので頂くことにする。マリアは月紗の対面に腰掛けて、未だに怪訝そうな顔をしていた。ふと奥を見ると、子供達が物陰からこちらを見ている。
「マリアさん、あの子達は?」
「あの子たち……すみません、お客様が珍しいみたいで……」
問いかけると、マリアはそちらを見て、呆れたように子供達のほうに向かう。
「興味があるならこちらに連れてくればいい」
何か思うところがあったのか、白虎が制止をかける。
「え、でも……」
おいで、と彼が手招きすると、困惑するマリアを余所に子供達がわらわらと集まり出す。その数は10人ほどだろうか。皆小柄で、年も十かそこらである。
「……いいんだ。俺はこういう事、させてもらえなかったから」
「白虎……」
「……それなら、少しぐらいは……」
興味のあることをさせてもらえなかったのか。そもそも興味を持つようなこともなかった月紗には分からない感情だが、それはとてもとても悲しいことに思えた。寂しげに呟いた狩人の横顔を見つめるが、次の瞬間、ぎゅっと腕に巻き付かれる感覚に思考は中断された。
「お姉さん、シスター?」
巻き付いてきたのは男の子だった。くりくりと大きな瞳が可愛らしい。
「え、ええ……」
「どこから来たの?」
「えと、クレアラから、だけど……?」
「じゃあまだグレデア山を越えてないんだね!」
グレデア山。この先のエファード村を越えた先にある山である。越えて、何かあるのだろうか。
「越えてはいないと思うけど……」
「クレナ!この旅人さんもダメだった~!」
「あ、こらチェール!失礼でしょう!」
チェールと呼ばれた少年はマリアにたしなめられていけね、と舌を出す。
「ごめんなさい……最近ここに来たばかりの子がいて、みんなその子に故郷の話を聞かせてあげようとここを訪れた方に聞くのですが……」
「へぇ……」
「あの、フィアージェの里って知ってますか?」
フィアージェの里。どこかで聞いた覚えがある。
「確か、三大部族の……」
「ええ、エルフの里です。……クレナはそこの出なんですが旅の身空で母親が亡くなって……もう少し大きくなるまでここで過ごさせてそれから帰らせようかと」
「なるほど……いい判断だと思う」
藤馬が頷く。腕を組んでソファに座っている姿は様になっているが、子供達がケープを引っ張っているせいで格好の良い姿とは遠く離れてしまっていた。
「少し、お待ちください」
そう言って出て行ったマリアから目を離して、月紗は紫音に問いかけた。
「信用してはくれたのかしら……?」
「うぅん……どうかしら」
「少なくとも子供の遊び相手にはする気だよな」
白虎がまつわりつく子供を膝の上に抱き上げる。辺りを見回した藤馬がふと呟いた。
「しかし、こんなところで生活はどうするんだ……?」
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テーマ : 連載小説 - ジャンル : 小説・文学

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紅崎姫都香

Author:紅崎姫都香
誕生日:4月28日
血液型:A
趣味:小説書き、イラスト描き、楽器演奏
年齢:23。
好きな物(漫画と小説):いろいろ。ツイッターと二次創作ブログでいろいろ書いてるのが好きです。
カップリングもいろいろです。二次創作してるのが主な萌え。
色々なネタで呟きます→@kurekito

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