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杉田真由子の探偵日記「魔女の狩人殺人事件」25

もうすぐ推理編です。私の一発目なのに結構えげつないです、この話。
では、どうぞ。

杉田真由子の探偵日記
「魔女の狩人殺人事件」


「アリバイとしてはほぼ全員が完璧、か」
事情聴取の結果、レオナルドの時同様に全員のアリバイがほぼ完璧という結果になった。誰でも5分10分の外出はあったからである。ヴァレンス・スターアイ殺しの時のスターアイ・グループのアリバイは以下の通りである。
エリシア・ベリーナはメアリ・ローズシープと一緒に次の新作化粧品についての話をしていたというし、アメリア・エイニーはマイラ・ブラウンと仕事の話をしていたという。アニーは真由子達に物置の案内をしていたし、ケリーとサリアは夕飯の支度をしていた。
ついでにレオナルド・フィレス殺しの時のスターアイ・グループのアリバイはエリシア・ベリーナ、アメリア・エイニー、マイラ・ブラウンは共にお茶をしており、ヴァレンス・スターアイはレオナルド・フィレスとお茶、メアリは商用の電話、メイド達は仕事をしていた、という具合である。
「用を足す時間まで数えるって言ってもなぁ……個室の中だし、アリバイは証明できないわよね」
「真由ちゃん、下品よ?」
「あ、ごめん。……そう言えばヴァレンスさんがお茶を飲みたいって言ったから持っていった、って誰だっけ?」
「あ、それケリーさんじゃなかった?たしかメモに書いてあるはず」
洸の言葉に従ってメモを見てみる。朱宇の字でたしかにそう書いてあった。
「まぁ、ケリーさんではないでしょうね。メモを見る限り台車はあとで取りに来いって言われたみたいだし……あれ、言われた?」
「あ、はい。なんかインターフォンで言われたって事でした」
「誰に?」
朱宇は気まずそうな顔をしてそれが、と言いよどむ。
「話してくれなかった?」
「まあ、そんなところです」
「そっかぁ……もう一回聞いてこようかな」
たしか夕飯のあとは空いていると言っていたはずだ。聞かなければ分からないと割り切ってアニーから借りた聖書を捲る。たまに紅音に意味を聞いては納得して進んでいるが、正直に言えばよく分からない。
真由子の英語力が聖書を読みこなせるほど無いのも一因だとは思うが、一番大きな要素は彼女がキリスト教という宗教の思想を全く勉強していないことだろう。だからいまいち理解することができない。
「そう言えば緋色の手紙の指紋はどうなったんですか?」
「それがな、色々と検討する必要が出てきた……真由子、一旦読むの中断しろ」
「あぁ、はい。で?」
「お前がペンキから取ってきた指紋と手紙の指紋が違うんだよ」
「……じゃあ同一犯ではない?」
「ああ。少なくとも二人、だな」
「……3人よ」
みさきがビニール袋に入ったメモを寄越す。流麗な草書体が読めないので、紅音に訳を書いて貰う。
「……なるほど……そういうことね」
開きっぱなしにしていた聖書にしおりを挟むとぱたんと閉じる。椅子から立ち上がると部屋を出た。
「ちょっとキッチンに行って来ますね」
行ってらっしゃい、という声を背に受けて空き部屋を出る。
「さてと」
目的は3つ。ポケットに忍ばせたビニール袋をきゅっと握り込んで、真由子は階段を下りていった。降りきるとそのまま玄関方向へと歩いてゆく。がちゃりと扉を開けて、何もないのを確認する。ゲストハウスを確認して、その玄関扉に何もないのを確認する。
次に敷地の外に出て、隣の家まで歩いてゆく。白い家の白い玄関扉に十字架が飾ってあるのが見える。素材までは分からないため、どうしたものかと考え込んだ。
「どうなさいましたか?」
「きゃ……あれ、フェニアさんに……トニーさん」
声を掛けてくれたのはフィレス家の使用人2人だった。
「私たち、たまたまこの辺りを通りかかったもので……」
「どうされました?何かお悩みのようでしたが」
ええと、と少しだけ考えて結局聞いてみることにする。
「このお家の玄関扉に飾ってある十字架って何でできてるんですか?」
「あぁ、あれはハーブです。ヴィオリアへの感謝の証といわれていますよ」
「え……感謝の証?」
たしかマイラは『魔女を滅ぼした修道士達の勇姿を称えてハーブの十字架を飾るようになった』と言っていたはずだ。
「ええ。ヴィオリアは美しく、薬草の知識に長けた女性でした。けれど仕える神が違いましたので魔女と呼ばれたのです」
「……仕える神……宗教の違いですか」
フェニアが頷く。
「ええ。あの地下室を見たでしょう?ヴィオリアが血のバスタヴに浸かっていたなんてあり得ないんです」
ヴィオリアはただ薬草の知識に長けただけの女性。
仕える神が違うだけで魔女扱いをされた彼女。
「教会がこの村に来た時に……ヴィオリアを魔女として広めた……?」
「はい。教会は自分たちの神こそ至高だとしてヴィオリアを処刑してしまったのです。それから薬を作れるものもいなくなったので疫病が流行りました。……それが、教会のほうではヴィオリアの呪いだとして……こんな噂が広まってしまったんです」
「……そうですか」
もしこのハーブが魔除けの意味で飾られていたのならば、それが外されていれば害を加えても良いという証になろう。けれど、もしもヴィオリアへの感謝の意味で飾られていたのならば、それは彼女を愚弄しているという意味にすり替わってしまう。
そこまで考えて、ふと気付いた。
もう片方の隣の家の玄関扉を覗いて同じものが引っ掛かっているのを確認する。
「ありがとうございます。色々分かったような気がしました」
軽く会釈すると、トニーがすこし心配そうな顔をした。
「あの、レオナルドぼっちゃまの事なのですけれど……」
「あ……」
あまり聞かれたくなかった。けれど、彼らには知る権利がある。
「その、できればこういうお知らせはしたくなかったのですけれど……」
そこまで口に出して、やっぱり言いよどむ。すると、フェニアが心配そうな顔をしたまま首を傾げた。
「悪いお知らせなのですか?」
「……ええ。……その……お亡くなりになりました」
「……ぼっちゃまが、ですか……」
「ええ。自殺や病気ではなく、どなたかに殺されたみたいなのです」
2人は随分ショックを受けたような顔をしていた。昨日まで仕えていた主人の急逝。
しかも誰かに殺されたという現実。
「お助けできなくて……すみません」
いえ、とトニーが首を横に振った。
「ぼっちゃまもどなたかに悲しんでもらえれば浮かばれると思います。……恨まれてもおかしくないことをなさっていたのですから」
「恨まれてもおかしくないこと……?」
「ええ。パーティーにはいつも女性をとっかえひっかえエスコートしておられましたし、そのせいでトラブルに巻き込まれることなんてしょっちゅうだったんです。ですから、ご自身もいつか命が危なくなるなんて仰ってました」
「……」
どうして彼はそれを止められなかったんだろう。そう聞きたくて仕方がなかったけれど、聞いてはいけないことだろうと思いとどまった。
「ぼっちゃまのお姉様が夭逝してしまったのも一因だったかもしれませんが……もう少し考えて行動して欲しかったと今更ながら」
「……そう、ですか……あの、犯人は必ず突き止めて見せますから……」
少しでも彼らの悲しみをいやしたくて、励ましにもならないことを言う。けれど、それにも彼らはにっこりと微笑んで、ありがとうと言ってくれたのだった。
「では、私たちはこの辺りで失礼させていただきますね」
「あ、はい。おやすみなさい」
「おやすみなさい。……あ、そうだ」
トニーが真由子を呼び止める。
「はい?」
「お昼にうちで働きませんかと言った件ですが……お返事はいつでも良いですから」
「……はい。でも多分無理だと思います」
「あ、やっぱりですか?」
「その、先約が入っていますので……お駄賃的な意味で」
それにほんの少しだけ、2人の表情が和らいだような気がした。
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テーマ : 連載小説 - ジャンル : 小説・文学

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紅崎姫都香

Author:紅崎姫都香
誕生日:4月28日
血液型:A
趣味:小説書き、イラスト描き、楽器演奏
年齢:23。
好きな物(漫画と小説):いろいろ。ツイッターと二次創作ブログでいろいろ書いてるのが好きです。
カップリングもいろいろです。二次創作してるのが主な萌え。
色々なネタで呟きます→@kurekito

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