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杉田真由子の探偵日記「魔女の狩人殺人事件」24

ラストに近づいて参りました。
では、どうぞ。

杉田真由子の探偵日記
「魔女の狩人殺人事件」


「さてと……ヴィオリアねぇ……」
なにやら雲行きが面白いことになってきたなと真由子はメモを見ながら呟いた。面白い事じゃないわよと朱奈がツッコミを入れるのをまあまあと宥めながら彼女は手帳にメモを挟んだ。
これまでの捜査で分かったことは以下の通り。
1.ダイアナ・ローズシープおよびレオナルド・フィレスが殺された。
2.犯人は魔女ヴィオリアとの主張が強い。付随して妖精の話も聞いた。
3.ヴィオリアの伝説は大体がヴィオリアを邪悪な魔女として扱う物であるが、話によって異なる。屋敷は結構綺麗だった。
4.ダイアナ・ローズシープの死因となった毒はBTP。即効性の毒で、誰が入れても不思議ではない。
5.レオナルド・フィレスの死因となった毒は青酸カリ。眠らせて運んだのかどうかは不明。ヴァレンス・スターアイがやったにしてはわかりやすすぎないか?
6.緋色の手紙は二通ともアメリア・エイニーが見つけた。
7.ダイアナ・ローズシープの部屋のドアの落書きは誰がやったのか分からない。
8.ヴィオリアを必要以上に恐れているスターアイ・グループ。愚弄するようなことでもしたのか?
9.スターアイ・グループの決まり。誰の家の使用人にでも命令できる。
10.エリシア・ベリーナがレオナルド・フィレスから指輪を拾ったと聞いていた。
「あ、そうだ真由ちゃん、お昼の前にちょっと調べたんだけど、ダイアナの部屋の塗料、多分ペンキよ」
みさきがトントン、と走り書きをつつく。
「ペンキですか」
ペンキ、とメモに付け加える。そのまま手帳を捲る。携帯電話で“妖精”の意味を調べて書き留めておいたものがある。
「……妖精。名詞。西洋の伝説・民話などに登場する自然物の精霊。超自然的存在として擬人化された、様々な姿や性格を持つ。フェアリー」(出典:明鏡国語辞典)
つまりは妖精というものは精霊であり、何かの擬人化だというわけだ。
精霊というものは目に見えない。
だから妖精も目に見えることはない。
その家の主人の手伝いをして、気付かれないように帰ってゆく。だから主人のほうは気付かないうちにある仕事が終わっていたりすると妖精がやったことだと思うのである。
だとすると、あの落書きはヴィオリアに仕える妖精の仕業とも言えそうである。
「真由ちゃん、何か分かりそう?」
「どうだろう……あ、そうだ」
真由子にはいまいち自信がなかった事でもあるが、試してみるしかないかなぁなどとぼんやりと考える。
「ヴィオリアの手紙なんですけど、指紋を調べてもらえますか?あとはあれ、化学捜査キット貸してください」
「いいわよ」
みさきが鞄から小さな箱を出して寄越す。
「真由ちゃん、何やる気なの?」
「指紋を調べるの。休憩中だったらケリーさんに案内して貰おうかなぁ。ちょっと話したいし」
「そんなのんきな……」
呆れる唐也に構わずに使用人の控え室へと向かう。
「すみませ~ん、ケリーさんいますか?」
ノックをして問いかけると、中から返事が返ってきた。
「あ、えっと、すみません、ケリーは仕事がございまして……」
ドアが開いてひょこりとアニーが顔を出す。
「あ、それなら別に良いんです。ちょっと物置を案内して欲しいかなぁと思いまして……」
「あの、そう言うことでしたら私が案内致しましょうか?それともケリーを呼んで参りましょうか?」
申し訳なさそうな顔をした彼女に大丈夫です、と返す。
「お仕事なら来て貰うわけにはいかないですし、アニーさんに案内お願いできますか?」
「はい、かしこまりました」
こちらです、と鍵を持って先頭を歩く彼女について行く。何も飾りのない玄関を抜けたところで一度建物のほうに振り返る。フィレス邸に行った時に感じた違和感はまだここにある。
「……?」
けれどそれがなんなのか、真由子には分からない。首をひねりながらまたアニーの誘導に従って歩いてゆく。
ゲストハウスと屋敷の間の細い道を抜けて庭に出る。それから屋敷の裏手に回ると小さな小屋があった。
「こちらでございます。暗いので足下にお気をつけください」
彼女の注意を受けて天井からぶら下がる小さな電灯を頼りに小屋の中を進んでゆく。
「一番手前がお庭の手入れに使う園芸道具でございます。そこの棚が工芸道具、その隣がペンキ置き場でございます」
「刷毛なんかもペンキ置き場にありますか?」
「はい、ペンキの缶の上に載せてありますが……それが何か?」
その問いには答えずに、真由子は赤いペンキ缶の傍にしゃがみ込んだ。手袋をはめて化学キットの中から指紋採取に必要な道具を取り出す。必要な作業を済ませると、念のために写真を撮った。
「真由ちゃん?」
優美の問いかけになんでもない、と答えると真由子は短く息を吐き出した。
これは知らせても良いことなのか、それとも知らせない方が良いのか、彼女には判断が付きかねる。彼女が指紋一覧を見た記憶ではスターアイ・グループの誰かと似通っているように思える。ただ、まだ色々と調べなければならないとも感じる。
「あの……」
「アニーさん、まだ本屋って開いてますか?」
「え!?本屋、ですか?た、多分開いているとは思いますが……その、お夕飯の時間もございますし、ええと……」
ものすごく言いよどみながらなんとか止めようとするアニーに事情を説明することにする。たしかにいきなり本屋に行きたい、なんて言い出したのは突飛すぎた。
「あの、聖書が読みたいんです。もしかしたら何か分かるかなぁって……なんせ魔女ですから」
「あ、そういうことでしたか……あの、私のでもよろしければお貸ししますよ?」
「いいんですか?じゃあお借りしようかな」
商談成立。あとは何も起こらなければじっくりと聖書を読んで、トリックを見つけ出すだけだ。
ところがそんなに浮かれていたのが不味かったのだろうか。ポケットに入れっぱなしだった真由子の携帯電話が軽やかな舞踊曲を奏でた。その着信音に設定してあるのは紅河みさき。
「はい、もしもし」
『真由ちゃん?そこにアニーさんやみんなもいる?』
「え、ええ……」
みさきの声は切迫していて、のんびりと何があったんですか、なんて聞ける雰囲気ではなかった。
『すぐに来て』
「あ、はい」
次に聞こえた言葉に、真由子は遅かったかと心底舌打ちしたくなった。
『ヴァレンス・スターアイが遺体で見つかったわ』

私は魔女。
魔女ヴィオリア。
愚弄する者には死を、祝福する者には慈しみを。
全てはヴェルビオラの箱庭の中で起こる運命の円舞曲。
役者は私の操り人形。
さあ、思い出してみればいい。
秘薬に倒れた罪人達よ、お前の罪を思い出すが良い。思い出して煉獄の炎にその身を焦がせ。
魔女に怯えし子羊たちよ。
あなたの過去にわざと置き去りにした、忘れ物はありませんか……?

ばたばたとあの落書きのされた部屋に駆け込むと、現在生き残っているスターアイ・グループと鑑識チームが全員集合していた。
「ヴァレンスさん……」
部屋は鏡台の周り、特にヴァレンス・スターアイの遺体が転がっている周りだけが荒らされていた。鏡台に頭と腕を向ける形でうつ伏せたその頭のほうには香水の瓶が散乱している。足下には金色に光る小さな物と銀色に光る物がひとつずつ。
「お夕飯の支度が整いましたのでお呼びしようと思ったんです。でもお部屋にいらっしゃらなくて、皆様にお願いして探すのを手伝っていただいたんです。そしたら……」
ケリーが声を詰まらせる。
「既に死んでいた、ってところね……」
「いえ、アメリア様とエリシア様があの緋色の手紙を見つけられて……」
「あぁ、そう言うことですか。で、死因は?」
「遅効性の毒による中毒死ね。この散らかりようが苦し紛れにやったことなのかは知らないけれど」
ヴァレンス・スターアイ。死亡推定時刻は18時前後。死後硬直は始まっておらず、死因としては遅効性の毒物による中毒死。
周りには散乱した香水。そして彼の物にしては大きさのおかしい指輪と誰かのイヤリング。
そして部屋の外には緋色の手紙が置かれていた。真由子が拾ったところ、それは全く同じ事が書かれていた。
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テーマ : 連載小説 - ジャンル : 小説・文学

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紅崎姫都香

Author:紅崎姫都香
誕生日:4月28日
血液型:A
趣味:小説書き、イラスト描き、楽器演奏
年齢:23。
好きな物(漫画と小説):いろいろ。ツイッターと二次創作ブログでいろいろ書いてるのが好きです。
カップリングもいろいろです。二次創作してるのが主な萌え。
色々なネタで呟きます→@kurekito

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