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杉田真由子の探偵日記「魔女の狩人殺人事件」19

高校の時のお友達と一緒にルノアール展とカラオケ、あと旧乃木邸に行ってきました。
たのしかった!

さて、続きです。

杉田真由子の探偵日記
「魔女の狩人殺人事件」

1人、死んだ。
ヴィオリアが、1人殺した。
残りは何人だろう。
何人だろう。
操り人形はヴィオリア?ヴィオリアは自分?
考えているうちにその境界が曖昧になってくる。
けれどそんなことはどうだっていい。
とにかく、魔女の秘薬で1人死んだ。
探偵がいたのは予想外。
警察が探偵と繋がっていたのも予想外。
でもだからなんなのだろうか。
元々自分には後戻りできる道などありはしない。
神を恨み、彼らを恨み、地獄の業火に焦がされるこの身には、逃れる道などありはしない。
あぁ、でもそれはなんと悲しい事なのだろう。
それでも思うのだ。
神を裏切った時点で自分は魔女に堕ちているけれど。
道連れがいたって良いのではないか。
同じ魔女を殺して地獄に堕としても許されるのではないか。
だから。
あいつも苦しみながら死ねばいい。
ちゃぷん。
ステンレスのスプーンの先が赤い液体の中に沈んで、弧を描いて。
ダージリンの紅茶の表面が渦を巻いた。

15時00分
ローズシープ邸に帰ってくるとすぐ、みさきは唐也と紅音を伴って空き部屋に引っ込んだ。
先ほどの資料で気になるところが全員にあったのと、真由子からの頼まれ物のためである。
「魔女ヴィオリア、ねぇ……そんなの本当にいるのかしら」
書類をひらひらと降って見せながらみさきは至極面倒くさそうにそんなことを言った。唐也は自分の取ったメモを見ながらそうですねぇ、と呟く。
「魔女かどうかはともかく、ヴィオリアがいたことは確かなんじゃないですか?」
「屋敷があったもんな」
紅音が捜査用の手袋をはめてファイルを開く。
「ま、それはそれで良いんだけど、魔女、ってあれでしょ?シンデレラなんかに出てくる……」
「それですよね。まぁ随分残虐趣味の魔女ですけど」
「でもそういう意味の魔女って本当にいたのかしら?」
みさきの質問は当然と言えば当然だっただろう。しかしその質問に対し、問われた二人は沈黙を持って答えとした。
「何よ」
「いや、別に……」
紅音がはぐらかす声が聞こえる。それに対し、唐也は心の中だけで叫ぶ。
――いるじゃないですか、僕の目の前に……最強に凶悪な魔女の女王陛下が!警視とか警部なんかその最たる物じゃないですか~っ!
「……あ・づ・き・く・ん?」
叫んだ瞬間、目の前のみさきと横でぱたんとファイルを閉じた紅音から絶対に目を合わせたくない冷気が流れ出す。ついでに静かかつにこやかな声で一文字一文字区切って呼ばれ、反射的に唐也は悲鳴を上げた。
「ひぃぃっ!」
「顔をそらしてないでこっちをお向き?」
「悲鳴あげるほど恐いもんじゃないだろう?」
「な、なんでしょうかぁっ!」
恐る恐る顔を上げると、想像通りにっこり爽やかに微笑む二人の美しき魔女の姿があった。元々二人とも美人なのだから彼女たちの本質を知らない男ならばその微笑みに見とれるはずだとは思う。しかし彼は知っていた。
カボチャを馬車にするような魔法は使えないとはいえ、この二人は別の意味の魔法を使うことなら幾らでもできる。それは誰でも使えるような物ではないし、あまりに危険すぎる。そういう意味での最凶の魔女なのだ。
「ね~ぇ、安月くん。あなた上司についてものすご~く誤解をしているわよねぇ?」
「え、なんのことでしょうかっ」
「誰がなんだって?」
「いえいえ、何でもありません」
――やっぱりこの二人、最凶で横暴な魔女だ!まぁそんなこと言ったら星李や玲さんもだけどっ!
とてもとても恐いので、口には出さずに助けて星李、と念を送ってみる。が、あまり効果はなかったようで、やっぱり目の前の二人はにこにこ笑いながら唐也に制裁を与える用意をしているのであった。
「だぁ~れが最凶で横暴な魔女ですってぇ~っ!?」
「お前はいちいち失礼なんだよっ!」
「何も言って無いじゃありませんか~っ!」
ごん、と額に痛みが走る。紅音がファイルの角を唐也の額に突き刺した音だった。きゅっ、と首が絞まって襟元を見てみれば、みさきが素知らぬ顔でネクタイを引っ張っていた。
「し、締まりますってば~っ!本当のことを思っただけでしょうが~っ!」
「あんた、命が惜しくない訳ね……?」
「ちょ、何する気ですか警視~っ!」
端から見ればばかばかしいやり取り以外の何者でもないが、現在進行形で虐げられている唐也にとっては真剣そのものの返答であった。そんなわけで、空き部屋にノックをしてから入ってきてくれた人物が天使に見えたのも無理からぬ事であった。相も変わらずコスチュームプレイをしていたため、多々奇妙な天使ではあったのだが。

15時00分
「お帰りなさいませ。いかがでしたか?ヴィオリアのお屋敷は」
帰ってきた一同を出迎えたのはアニーだった。みさき達警察連中は早々に空き部屋に引っ込んでしまったため、真由子達だけで応対する。
「結構綺麗なところなんですね。おどろおどろしい感じじゃなかったし」
「きっと聖職者の方がヴィオリアを祓ったときに一緒に清められたのでしょうね」
「あ、なるほど」
そういう見方もできるわけだ。ヴィオリアが殺された時に禍々しい屋敷の様子も変わったという見方。
普通に考えればそうかもしれない。
けれど少しだけ引っかかりを感じる。
そんなマジカルでファンタジーな話があっても良いのだろうか。
「真由子さん?どうかなされました?」
「あ、いえいえ、ちょっと将来の就職先の心配を」
「まあ」
「あれ?真由ちゃん保留にするって言ってたじゃない」
優美が茶々を入れる。保留にする、というのはフィレス邸から帰ってくる時にトニーに言われた言葉である。
「まぁ、学校を卒業したらここで働きませんか、だし……悪くはないとは思うけどね?」
「レオナルド様のお屋敷にお勤めになるのですか?」
「う~ん、考え中、です。私一応やりたいことはあるので……メイドさんも捨てがたいんですけどね」
「大変ではありますがやり甲斐のある仕事だとは思っておりますわ」
「そうねぇ……」
にこにことアニーが笑う。ぽん、と優美が手を打った。
「真由ちゃん、私立探偵になっちゃえば?」
「えぇ!?なんで!?」
「パイプはあるんでしょ?大丈夫よ!」
「考えておくわ……」
うふふ、と笑うアニーを尻目に真由子は曖昧に笑って誤魔化した。
「……それにしても、真由子さんは探偵だったんですね」
「違います」
「あら、でも警察の方と随分仲がよろしかったみたいですが」
「ただ単に巻き込まれ体質なだけですし……それにみさきさんとは趣味のほうの友達なんです」
「まあ、そうなんですか」
そんなことを話しながら応接間へと歩いてゆく。そこでふと気付く。
「あの、アニーさん」
「はい?」
「お仕事のほうは大丈夫なんですか?」
彼女はふわりとまた笑って頷く。
「ちょうど今休憩時間なんです。気に掛けてくださって有り難うございます」
「あら、アニー、ここにいたの。皆様、お帰りなさいませ」
通りかかったケリーとサリアが彼女を呼び止める。
「ケリーにサリア。どうしたの?」
「レオナルド様を見かけなかった?アメリア様が探していらっしゃって……」
「レオナルド様?いつもお使いになっているお部屋にいらっしゃるんじゃないかしら?」
ところがそれにケリーは首を横に振る。
「それがエリシア様にお聞きしたらちょっとゲストハウスに行くと仰って出て行ったらしいの。あなたさっきまでゲストハウスのベッドメイキングをしていたでしょう?」
「え?確かに私ゲストハウスにいたけれど、お見かけしなかったわよ?お庭のほうは見ていなかったから、そっちかもしれないけれど」
おかしいわねぇ、とサリアが首をひねる。
「レオナルドさんがいないんですか?」
「ええ。どちらに行かれたのかしら……」
とにかく、もう一度調べてみないと。そう言って二人はぱたぱたと走っていった。
「二人いれば見つけてくれるかとは思うのですけれど……」
「心配なら行かれても構いませんよ?」
そう洸が声を掛けると、アニーはゆっくりと首を横に振った。
「いいえ、お客様をおかまいもしないのは失礼ですし、それに……私が手伝うと足手まといになるかもしれないので……」
「そんなことはないんじゃないですか?」
「いえ、私、要領が悪いのかもしれません。仕事は満足にこなせますけれど、いつも怒られてばかりですし……ケリーやサリアは効率も要領も良いからあまり怒られないんです」
「……それは人それぞれだとは思います。最初から効率よく仕事をこなせる人なんていませんから。要領のほうはケリーさんのお仕事をよく見て勉強すればいいと思いますよ?それに、こうやって私たちと話す時間があるんですから充分効率よくできているんじゃないですか?」
「それならばよいのですが……?」
しゅん、と俯いていたアニーが顔を上げる。
こんこんこんこん。
こんこんこんこん。
こんこんこんこんと何回も何回も扉が叩かれる音がする。
「はい、今お開け致します」
鍵は開いているのに、と彼女は立ち上がってドアを開ける。
「アメリア様にマイラ様……どうかなされましたか?」
扉の外にいたのはアメリアとマイラだった。二人は走ってきたのか荒い息を吐いていて、顔色は紙のように蒼白だった。
「あの……これ、ヴァレンスの部屋の前に落ちていたの。私たちさっきまでエリシアのいつも使っている部屋にいて……」
「エリスがちょっとお手洗いに行ったから、お菓子でも貰おうかと思って歩いていたらヴァレンスの部屋の前に……」
そう言ってアメリアが差し出したのは一通の封筒。
「……緋色の手紙!?」
開かなくとも分かる、呪いの手紙。まごうかた無きヴィオリアが寄越した手紙だ。
「中は……」
「まだ開けていないわ」
急いで受け取って白い封蝋を外す。中にはまた同じ、緋色の文字で同じ文言が描かれていた。

「REGRET YOUR GUILT」

「まさか……ヴァレンスさんが!?」
またヴィオリアの犠牲者なのか。
「とにかく、行ってみないと分からないわ。行きましょう!」
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テーマ : 連載小説 - ジャンル : 小説・文学

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紅崎姫都香

Author:紅崎姫都香
誕生日:4月28日
血液型:A
趣味:小説書き、イラスト描き、楽器演奏
年齢:23。
好きな物(漫画と小説):いろいろ。ツイッターと二次創作ブログでいろいろ書いてるのが好きです。
カップリングもいろいろです。二次創作してるのが主な萌え。
色々なネタで呟きます→@kurekito

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