FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

杉田真由子の探偵日記「魔女の狩人殺人事件」17

今日明日は雨ですね。
そんなわけで続きです。
では、どうぞ。

杉田真由子の探偵日記
「魔女の狩人殺人事件」

11時00分
エリシア、ケリー、アニーの事情聴取を終えて、真由子達は空き部屋の一室に集まっていた。
「ダイアナさんが、ねぇ……ふぅん……」
「ま、信じるかどうかは任せるけど……」
ヴィオリアの仕業と断言する者もいればメイドの仕業だと断言する者もいる。
大体がヴィオリアの仕業だと言っているが、どうにもこうにも納得ができない。納得がいかないと言ったらいかない。
「でも、ダイアナさんを殺す動機としては一応あるのかもしれないわね……」
ローズシープ家がヴィオリア討伐隊のメンバーだから殺された、という動機は魔女ヴィオリアにとっては重要なのではないだろうか。もしも討伐隊というものがあれば、の話だが。
「昨日の伝説ってあらすじでいくとこうなるの」
真由子はメモ用紙に走り書きした説話の要点を指さす。その内容は次の通りである。
1.ヴィオリアにバラに変えられるから若い者は森へ行くなという言い伝えがある。
2.若い男女が森の中に入り、娘はいなくなるが男は殺される。
3.自分のことを愚弄していると感じたヴィオリアが4種の秘薬をつくって村人を殺す。
4.村人が教会に訴え、教会から派遣された者たちによってヴィオリアは殺される。
この中にヴィオリア討伐隊の入る余地があるとすれば4つめだろうが、そこは詳しく聞いてみる必要性がありそうだ。
「でもこれ、人によってバラバラよね」
透子がぽつりと呟く。
「ばらばら?」
「そう、バラバラ。だってローズシープ家はヴィオリア討伐隊って言うけど、派遣されたのは聖職者でしょ?どっちかは知らないけど聖職者だから結婚はできないんじゃない?」
「あぁ、確かにそうね……じゃあ4つめは村人もあり得るのかしら」
考え込みそうになる。ダイアナの境遇よりもそちらのほうが気に掛かる。
アニーやケリーはヴィオリアの仕業だと言い張っていた。
『私、見たことあるんです!ヴィオリアの家の落書き、ダイアナ様のお部屋のドアと同じような文体だったんです!』
アニーがあれだけ主張していたんだし、落書きの件はどうやら信じても良さそうだ、と思ってからふと気付く。
「一回ヴィオリアの屋敷に行ってみたいなぁ」
「おい、今どういう状況か分かって言ってるか?」
「分かってます。あとあれですよね、自分に降りかかる火の粉は何とやらとも言いますし、その辺は後でどうにかしますよ。まずは……と」
お屋敷を色々引っかき回そうかしらと言おうとしたところで真由子はドアをノックする音に気付く。
「はい?」
「あの、えっと……」
「アニーさん?」
「は、はい、アニーです。あの、アメリア様が……」
ドアの向こうでアニーはやたらと焦ったような声で早く来いというニュアンスの言葉を繰り返す。その様子になにやらただならぬものを感じて真由子はソファを立った。ドアを開けると顔面蒼白になったアニーがいた。
「どこですか?」
「あの、食堂の前の廊下なんですけれども……」
そこまで案内させる。
そこにはアメリアがいて、こちらも真っ青に血の気の引いた顔色でドアの前を指さした。
観音開きのドアは閉まっていて、そのドアの前の廊下に何かが落ちていた。
「……封筒?」
それは厚みのある真っ赤な封筒。拾い上げてひっくり返してみると、それはわざわざご丁寧に白い封蝋で止めてある。封筒が赤いせいで黒いインクの文字が読みにくいが、辛うじてこう読めた。

「TO EVERYONE」

「皆様方へ……ねぇ」
「ヴィオリアの封筒です、きっと!」
「ヴィオリアの?……アメリアさん、これがそうですか?」
問いかければ、アメリアはそうよと頷く。封筒を手渡して開かせる。中には一枚の白い紙。
「なにこれ……」
「どうしたんですか?」
顔色が悪くなる彼女の様子に、横からのぞき込んで真由子はぎょっとする。
「また……赤い絵の具ですか……」
そこには真っ赤な絵の具で、昨日ダイアナの部屋に書かれていたようなレタリング(文字の書き方)で、完結に、短く文字が記してあった。

「REGRET YOUR GUILT」

アメリアの言葉を思い出す。
『ヴィオリアはね、何かを村人に伝えたい時は2種類の封筒を使ったの。1つは祝福を与える白色の手紙。もう1つは呪いを与える緋色の手紙、という風にね。白色の手紙は結婚式や出産の時に幸せが訪れるようにとの文言と白い小さなバラが込められていて、緋色の手紙はヴィオリアに誰かが殺された時なんかに呪いの文言と赤い大輪のバラを込めて届けられたわ』
15文字の殴り書きのメッセージが呪いの文言だとするならば、それはまさしく緋色の手紙。ヴィオリアからの、呪いの手紙。
言いようのない寒気が背中を駆け上がる。
だから怪談は嫌なんだ。
そんな文句を口には出さずに呟きつつ、真由子は外していた捜査用の手袋をはめた。アメリアから封筒を受け取る。
「中にまだ何か入ってる……」
封筒の中をのぞき込む。赤いせいか、内容物まで赤く見える。ポケットを漁って白いハンカチを取り出し、それを床に敷くと封筒を逆さまにした。
はらり、と真っ赤な花びらが舞い落ちる。はらはらと続けて何枚か落ちた後、少し重たげな音を立てて花本体がハンカチの上に落ちた。
「バラの花?」
「バラの花……ヴィオリア……ですか?」
アニーがこくこくと頷く。その場の緊張感に堪えきれなくなったのか、彼女は一歩、二歩と後退りした。
「あ、あの、私、皆様を呼びに行ってきます!」
そう言うや否や彼女はくるりと背中を向け、エプロンドレスの長いスカートと一つに結んだ長い髪を揺らして走り去っていった。その後ろ姿を呆然と眺めていると、紅音が無言でチャック付のビニール袋をこちらに差し出す。その中にバラを放り込む。メモ帳を千切ってタグを付けて封をする。次いで封筒と手紙をもう一つ貰った袋に放り込む。
「緋色の手紙……か」
これはいよいよヴィオリアの屋敷に行かねばなるまい。いや、そうしなければ気が済まなかった。
「ヴィオリアからの手紙ですって!?」
アニーを先頭に応接間にいたと思しき面々が走り寄ってくる。そうです、と頷き返すとエリシアがビニール袋をのぞき込んだ。
「これがそうなのね?」
「ええ……」
「手紙にはなんて書いてあるの?」
「『REGRET YOUR GUILT』と」
空気がさらに張りつめた。それはヴィオリアが呪いの文言を贈ってきたという、信じがたいが現実を見なくてはならないという緊張感ではなく、書かれた文言に対して誰の罪なのかを探り合う緊張感だった。
――罪?後悔せよ?何のことなのそれは……?
気になるが聞ける雰囲気ではない。全員に向けた魔女の手紙。
後悔するのは誰の罪かなんて分からない。
けれど、ヴィオリアの屋敷に行けばどうにかなる気がして。
「あの、ヴィオリアの屋敷に行きたいんですけど、アポイント無しで行っても大丈夫ですか?」
気がついたらケリーにそう問いかけていた。
「ヴィオリアの屋敷、ですか?」
「ええ。一度行かないといけない気がしたので」
「ヴィオリアが住んでいるかもしれませんが、ミスター・フィレスのお屋敷に問い合わせてみましょう」
スポンサーサイト

テーマ : 連載小説 - ジャンル : 小説・文学

コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

紅崎姫都香

Author:紅崎姫都香
誕生日:4月28日
血液型:A
趣味:小説書き、イラスト描き、楽器演奏
年齢:23。
好きな物(漫画と小説):いろいろ。ツイッターと二次創作ブログでいろいろ書いてるのが好きです。
カップリングもいろいろです。二次創作してるのが主な萌え。
色々なネタで呟きます→@kurekito

最近の記事
これ以外にも、NOVEL INDEXを随時更新中です。
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
二次創作は「その他創作」からどうぞ。
FC2カウンター
FC2カウンターおんらいん
現在の閲覧者数:
無料カウンター
ブログランキング
FC2 Blog Ranking にほんブログ村にほんブログ村 小説ブログ ミステリー・推理小説にほんブログ村 ホラー・怪奇小説 長編小説 air-rank
サーチ様
検索エンジン Mono Search
ブログ開始から何日経った?
ブログ内検索
リンク
相互リンクサイト様、素材サイト様、管理人別サイトの紹介です。
このブログをリンクに追加する
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。