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杉田真由子の探偵日記「魔女の狩人殺人事件」13

物語が進みます。段々ストックが厳しくなってきた……。
では、どうぞ。

杉田真由子の探偵日記
「魔女の狩人殺人事件」

ダイアナ・ローズシープは致死量の薬による服毒死だった。それだけならばまだ頷けたのだが、その状況を知った瞬間に真由子は素っ頓狂な声を上げて驚いた。
「被害者の手がふれた食べ物から毒が検出されたぁ?何ですかそれ」
被害者の手が触れた食べ物。パンぐらいしか思いつかないが、おそらくグラスなどの食器にも毒物が付着していたに違いない。
「そういうことよ。被害者は自ら毒を手に塗りたくってパンを口に入れた……ってことになるわね」
だが、そうなると生じる矛盾点も多い。
ダイアナが毒を手で運んでいた形跡がないからだ。
いや、よしんばあったとしてもハンドタオルにふき取られて毒を飲むことなどできないだろう。
しかし、である。
「嘘だぁ……でもパンに塗りたくられていた、よりは説得力があるかなぁ」
パンの入った籠は二つで、ダイアナが食べていたパンは真由子やメアリが取ったパンと同じ籠に入っていた。そんな中でロシアン・ルーレットを決行するのは無謀でしかない。
考え込む真由子にみさきが尋ねる。
「向こうの反応次第だけど、どうも穏やかじゃないわね」
「そうですね……昨日ダイアナさんの部屋に落書きがされていた事件があったんですけど」
「落書き?」
紅音が聞き返す。
「ええ、『TO HELL』ってなんか赤いペンキかなぁ、とにかく塗料で殴り書きされてたんですよね」
「ふぅん……落書き、ってわけか、それが」
「落書きっちゃあ落書きですけど、地獄、でしょ?」
優美が眉を顰める。どことなく不安げなその肩に洸が宥めるように手を置いた。
「あれを見たときにアニーさんがヴィオリアの仕業だって言い出したのよね。それでなんかみんな挙動不審になったっていうか……」
「ヴィオリア、か」
「つまりそのヴィオリアが地獄へ行けって呪ってる、ってのがみんなの説かな?」
唐也が首を傾げる。
「それともヴィオリアの仇とか?」
「違います。安月さんたちは聞いてないですものね……ヴィオリアって、魔女です」
「魔女?」
急に唐也の顔が近くなる。こしょっ、と囁かれたのはしごくどうでもいいことであった。
「警視とか警部みたいな?」
「はぁ?」
「だって魔女でしょ?」
「安月さんが思ってるのとは多分違いますけど魔女です」
「安月くん?あなた十も年下の女の子に何吹き込んでるのかしら?あなたロリコン?」
「……みさきさん、ロリコンはちょっと違うと思うんですけど」
「あら、あれだけの年の差は犯罪だと思うわよ?それに安月くんは妻帯者ですもの」
「誰がそういう関係ですか。上司の悪口ですよ」
真由子が溜め息混じりにそう言うと、2人の眉がぴくりと跳ね上がった。
「あ、づ、き、く、ん?」
「あ、ひどいよ真由子ちゃん!いつもそうやって情報を横流ししてぇっ!」
「ひどくて結構、共犯者になるつもりはないですもん」
「ていうか、女の子に下の名前で呼びかけるのってセクハラじゃなかった?」
「別に私はそれでいいから何も言ってないんだけどね……で、話を戻しますと、ヴィオリアは正真正銘の魔女らしいです。薬に精通していたらしいので、それだけは確かでしょう。ただ、ヴィオリアは説話の登場人物として存在していますし、その話の中で聖職者によって殺されています。……生きていたとして、住む家もないわけですがね」
「あぁ、フィレスさんのお家が管理しているんだっけ」
そうだ。確かアニーがあとでフィレス家のメイドに連絡を取るとかなんとか言っていたが、おそらく有耶無耶にされていることだろう。
「まぁ、その話はあとでまた問い合わせてみれば良いんじゃない?」
「そうね……それより事情聴取、か……」
ひとしきりそんな話をしたあと、決まりきった操作の手順に戻ることにする。内輪だけで話していた部屋から出て、応接室に向かう。
「ダイアナは……」
「……お亡くなりです」
唐也が端的に告げた言葉に、そんな、とどこからともなく声が上がる。
「死亡推定時刻は8時15分ごろ。死因は毒物による中毒死と推定されます」
「毒物ですって!?」
「ええ。毒物です」
嘘だろ、とヴァレンスが蒼白な顔で呟く。
「嘘だ……僕らは婚約までしていたのに……こんなところでダイアナが死ぬなんて!」
「ヴァリー……」
「殺された、ということなの?」
「……さあ、それは何とも言い難いですが」
みさきの答えに、メアリがはっ、と短く笑う。
「まだ何も分かっていない、というのね」
「ええ。本件に関してこれから皆さんに空き部屋で事情聴取をいたします。よろしいですか?」
紅音がその場の全員に声をかける。アメリアはゆっくりと頷いた。
「わかったわ」
「いいえ、その必要はないわ」
ぴしゃりとメアリが遮る。
「メアリ……?」
「その必要なんかないじゃない」
「と言いますと?」
真由子が問い返すと、メアリは勝ち誇ったように、見方を変えればこちらをばかにしたように笑った。
「食事に毒を盛れるのなんて、作った者以外にいないわ!そうでしょう、刑事さん?」
「殺人事件になれば、可能性だけはあるわね」
「メアリ様……?」
アニーが怯えたように主人を見つめる。その肩をケリーが抱いて、主人を半ば睨むように見つめる。
「つまり、作り手であるメイドさんが一番怪しい、と?」
「そんな、メアリ様!私たちじゃありません!」
「お黙りなさい!あんたたちに決まってるわ!」
「誤解です、メアリ様!私たちではありません!」
サリアが瞳をうるませる。
確かにメイドたちが犯人、というのは理に叶っている気もするし、毒を入れることが可能なのは彼女たちしかいないのも事実だ。
だからこそ、そこが気になる。
毒を盛ったとして、殺したい相手のところに食事をサーヴできるものなのだろうか。
それに被害者が触ったパンに毒が仕込まれていたのならば、無差別に取れるはずのそれをどうやって彼女に選ばせた?
けれどそれを言ってしまえばますます彼女たちが追い詰められる結果になりそうで、それが悔しくて真由子は唇を噛んだ。
誰も止められないから、メアリの叱責は止まらない。
「あんたたちがやったんでなきゃ誰がやったって言うのよ!私たちがやったとでも言うの!?」
「そんな……」
「それともダイアナが自殺したとでも!?」
「証拠が見つからなきゃ、そうなるけど?」
「自殺なんかするわけないでしょ!こんなに待遇を良くしてやってるのにこの恩知らずが!」
「……雇用者でしょうが、あんた」
真由子は密かに溜め息をつく。この場を治められるだけの強引さが欲しかった。
「……メアリさん。メイドさんでは説明できない点もたくさんあります。ですから事情聴取をするのです」
その言葉に、ケリーが顔を上げた。
「真由子さん……」
「まだ何もわかってないでしょ。あなたたちを犯人だと断じるのは早計すぎます」
しかし彼女は首を横に振る。
「ありがとうございます。……けれど、きっと……ヴィオリアの仕業でしょう。きっとまた皆殺しにするつもりなんです」
「皆殺し……ヴィオリアが生き返った?」
「おそらく……そうかと」
「復讐のために?魔女はそういうものなの?」
彼女の瞳から一切の感情の色が消える。
「真由子さんには……分からないかもしれません」
「私には……わからない?」
何がだろうか。
魔女のことか。
その動機か。
ケリーの言うとおり、今の真由子には全く何も分からなくて、考え込んでしまいそうになる。
「ねぇ、始めるのならさっさとしなさいよ!」
「あぁ、はい。メイドの皆さんにはあとで色々聞くから、呼んだら指定の場所に来てください」
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テーマ : 連載小説 - ジャンル : 小説・文学

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紅崎姫都香

Author:紅崎姫都香
誕生日:4月28日
血液型:A
趣味:小説書き、イラスト描き、楽器演奏
年齢:23。
好きな物(漫画と小説):いろいろ。ツイッターと二次創作ブログでいろいろ書いてるのが好きです。
カップリングもいろいろです。二次創作してるのが主な萌え。
色々なネタで呟きます→@kurekito

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