FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

怪奇事件縁側日記「籠の中の鳥」4

昨日は飲み会に行って来ました。楽しかった!カルピスサワーが美味しかったです。あと軟骨!

そんなわけで縁側日記の続きです。

では、どうぞ。

怪奇事件縁側日記 夏・1
「籠の中の鳥」

しん、と教室が水を打ったように静まる。

本校の生徒が遺体で見つかった。

ほんこうのせいとがいたいでみつかった。

ホンコウノセイトガイタイデミツカッタ。

「え……冗談、でしょ?」
思わず呟く。遺体で見つかる?菊花学園の生徒が?
「生徒の名前は烏丸洋子(からすまるようこ)。二年生だ」

2年A組の事情聴取はすぐに行われた。
被害者の烏丸洋子とおなじ学年だからか、慎重に取り調べを行っているようではあったが、そんなことは涼香の知ったことではない。
今度こそ涼香は烏丸洋子と面識も接点もない。
被害者は女子バレー部で、殺された時間帯は昨日の夕方。ところがその日女子バレー部は練習があり、近所の体育館にいたというのだ。だいたいその時間帯には学校に戻ってきてはいたものの、部員は更衣室で着替えていたと言うし、校内に残っていた生徒も数えるほどだったという。
ちなみに涼香はその時間に何をしていたかというと、クラリネットの絶賛片付け中であった。けれど、特に何もなかったように思う。
教室に入るとどうやら下校らしく、生徒の姿はまばらだった。
「涼香、お疲れ」
「明日華もお疲れ。唯奈と優は帰った?」
「ううん、ちょっとトイレだって」
「そう……この学校、多いわよね、こういうの」
椅子に腰掛けながら溜息混じりにそう言うと、明日華は苦笑する。
「まぁ、七不思議伝説は知っていたけど……」
「そりゃ、有名だもん」
こちらも呆れたように笑っていると、ガラリと戸を開けて女生徒が入ってくるのが見えた。
ノンフレームの眼鏡を掛けたストレートの黒髪少女。
よく見知った彼女は一年生の時に同じクラスだった人物だった。
「あれ、千川さん……」
「室宮さん、神城さん……二人はもう終わったのね」
疲れたような声で女生徒……千川薫は微笑んだ。
「あ、うん……」
「そうよね……A組だもんね」
「千川さんって何組だっけ?」
「私は隣。烏丸さんはD組だったわ」
相変わらず声の調子は疲労を滲ませている。いや、疲れているのは声だけではない。彼女の表情もどことなく疲れていた。きっと本当に疲れているのだろう。去年クラスで見た薫はもっと生き生きとしていて、リーダーシップのある生徒だった。少なくともこんなに疲れた表情はしていなかったし、もっと張りのある声だったはずだ。
「疲れてる?もしかして」
「ん……疲れてる、っていえば疲れてるんだけど……なんだろう、寝不足かしら?」
そう言って薫はへしょん、と崩れるように椅子に座る。
「寝不足?」
「千川さんってそんなに家、遠かったっけ?」
「う~ん、一時間半くらいではあるんだけど……それ以上に……いろいろあってね」
「なるほど……」
これは相当神経を張りつめていたようだ。一時間寝ていけば、と言うと、彼女はうん、と頷いて机にうつ伏した。
「どうしたのかしら……あ、おかえり」
また戸が開いて今度は唯奈と優が入ってくる。その後ろに見慣れぬ人影を認めて涼香は首を傾げた。入ってきた人影は昨日会ったばかりの唯奈の部活の先輩で、名前は籠原雅といったか。墨を流したようなロングヘアが冷房の強い風にさらさらと揺れる。
「あら、お邪魔だったかしら?」
小首を傾げる様もなんだか可愛らしい。
「あ、いえ、全然」
「あれ、誰か寝てる……」
「疲れているみたいだから寝かせてあげて」
涼香が唯奈にそう言うと、雅は着ていたカーディガンを薫の背中に掛けてやる。そうして椅子に座ると彼女はふぅ、と息を吐いた。
「ビックリよねぇ……私あの時間、部室の片付けやってたのよ」
「そうなんですか」
涼香はさして興味もない風に返す。本当に興味がないのだから仕方ない。あぁ、と唯奈がぽんと手を打つ。
「だから先輩、部室で色々くれたんですね」
「そう。ちょうど可愛い縫いぐるみとかがあったからみんなにあげようと思って」
「なるほど……」
なんにせよ、ボランティア部に縫いぐるみがあるというのは似つかわしい雰囲気である。ではどういう部活なら似つかわしくないのかと聞かれても困ることは困るのではあるが。
「それはそうと、私さっき事情聴取保健室で受けたんだけど、なんだか物々しい雰囲気だったわね」
「まぁ、人一人死んでますからね」
言いながら、少し違和感を覚える。
籠原雅は事の重大性をもしかしたら分かっていないのかもしれない。
いや、ただ単に世間離れしているだけと言っても良いかもしれない。
「そうね……そう言えば、最近保健室に行く人の数が増えているようね」
「あ、籠原先輩のクラスもですか」
優が聞くと、雅はええと頷く。
確かに七月が始まってから、保健室に駆け込む人数が増えた気がする。教諭陣はいつものこととしてたいして気にしていないようだが、こちらとしては非常に気になる。
「私もこのところちょっと体調が優れなくてね……」
「大丈夫ですか?」
「ええ、今年は受験だし、夜遅くまで勉強しているのが祟ったのかもしれないわ」
言いながら彼女はふあ、と欠伸をする。相当寝不足のようだ。
「頭は痛いし肩は凝るし……ほんと、無理なんてするものじゃないわ」
「気を付けてくださいね?先輩、もう帰った方が良いんじゃないですか?」
「うん、でも今日は部長会の筈だから……」
その時、トントンと戸を叩く音がした。戸の向こうには男子生徒。何気なくそちらを見た優があれ、と声をあげる。
「橘川先輩!?」
「あ、樋口さん。悪いけど今日の部活はありませんって連絡網、流しておいてくれる?俺携帯電話なくしちゃって」
橘川先輩と呼ばれた男子生徒はへら、と申し訳なさそうに笑う。
「あ、はい」
「あら橘川くんじゃない」
「籠原さん……どうしてここに?二年のクラスなのに」
「うふ、後輩にくっついてきてみたの」
「あぁ、なるほど……あ、あと今日は部長会、ないって」
「分かったわ。ありがとう」
雅がそう頷くと、橘川は優に礼を言って教室を出て行った。
「橘川先輩、携帯電話なくしたって……彼女さんとの連絡どうするのかな……」
「あぁ、橘川くんなら多分大丈夫よ。彼の彼女さん、同じクラスだから」
へぇ、と明日華が呟く。そして寝ているはずの薫の顔を見て、おはよ、と言った。
「おはよ……私、寝ちゃってた?」
「そりゃもうぐっすりと」
「疲れはとれた?」
「無理。一時間程度じゃとれないのかも……でも少し楽になったわ、ありがとう」
「どういたしまして」
薫は眠そうに目を瞬いて、ふと指先に触れたカーディガンの感触に目を丸くする。
「あれ、これ……」
「あ、それ籠原先輩の」
「先輩……ありがとうございました、すっかりお借りしちゃって」
恐縮したように彼女がカーディガンを差し出すと、雅はにこにこと笑って受け取る。
「どういたしまして。お役に立ったようで何よりだわ……ええと、」
「あ、私千川薫です」
「籠原雅です、よろしくね」
にこりとまた微笑みかけた雅につられて薫も僅かに微笑む。
「疲れて寝ていたみたいだけどどうかしたの?」
「あ……はい、その……」
そう口ごもって薫は俯く。
「よければ聞かせてもらえるかしら?」
「はい……唄が、聞こえるんです」
「唄?」
「唄って、なんの?」
彼女は静かに首を横に振る。
「分からないの。ちょっとうとうとすると聞こえてきて……でも目が覚めちゃうとなんの唄だったのか忘れちゃうのよ」
なかなかに要領を得ない話ではある。眠ろうとすると聞こえてくる唄。目が覚めると忘れてしまう。
「夢の中の出来事、ってことはないか……眠れてないんだもんね」
仮に夢だったとしてもレム睡眠が睡眠時間の大部分を占める計算になるので良くはないのだが、そもそも眠れていないのだからこの場合は関係がないだろう。
「もしかして、その唄、子供が何人か歌ってる?」
「ええ……何人かは分からないんですけど……」
まあ、と雅が口許に手をあてた。
「私と同じだわ。私もそうなの」
スポンサーサイト

テーマ : 連載小説 - ジャンル : 小説・文学

コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

紅崎姫都香

Author:紅崎姫都香
誕生日:4月28日
血液型:A
趣味:小説書き、イラスト描き、楽器演奏
年齢:23。
好きな物(漫画と小説):いろいろ。ツイッターと二次創作ブログでいろいろ書いてるのが好きです。
カップリングもいろいろです。二次創作してるのが主な萌え。
色々なネタで呟きます→@kurekito

最近の記事
これ以外にも、NOVEL INDEXを随時更新中です。
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
二次創作は「その他創作」からどうぞ。
FC2カウンター
FC2カウンターおんらいん
現在の閲覧者数:
無料カウンター
ブログランキング
FC2 Blog Ranking にほんブログ村にほんブログ村 小説ブログ ミステリー・推理小説にほんブログ村 ホラー・怪奇小説 長編小説 air-rank
サーチ様
検索エンジン Mono Search
ブログ開始から何日経った?
ブログ内検索
リンク
相互リンクサイト様、素材サイト様、管理人別サイトの紹介です。
このブログをリンクに追加する
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。