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怪奇事件縁側日記「魔女の鏡」16
16話目です。
では、どうぞ。

怪奇事件縁側日記 春
「魔女の鏡」

「ちょ、っ、何これ!?」
慌てて優に連絡を取る。
『ん、おはよう……なぁに?』
電話の向こうの優は少し寝ぼけたような声で応対した。
「一年生の湯浅要さんが失踪だって……」
『ゆあさかなめがしっそう……湯浅要が失踪……失踪!?』
「そう、失踪!」
『もしかしたら学校の裏サイトかなんかに何かないかしら?』
「裏サイト?」
そんなものあったかしらと少し考え込む。
『そこなら何かその、湯浅要に関する情報があるかもしれないわ』
「うん……明日華、大丈夫かな?」
神城明日華はずいぶんと湯浅要を気にかけていた。このまま見つからなかったらさぞ悲しむだろう。
『知らない、って可能性もあるわ』
「……そうだよね、でもどうせ知らされるんじゃないかな?」
『そうね……今のうちに何か調べておいた方がいいのかも』
「うん」
携帯電話を耳に押し当てて、唯奈はキーボードをいじくった。菊花学園の裏サイトを探す。予想通りというかそれ以上というか、学園名では見つからない。かといって業を煮やして公式サイトをハッキングするわけにもいかない。
ではどうするか。
情報屋「flute」は言っていた。
『ちょこーっと裏の手を使わせてもらったの。青バラさんに感謝かな?』
青バラに感謝。
青バラ。
「見つからなかったらどうすればいい?」
『大丈夫。絶対見つかるわ』
「根拠は?」
『クリスティーが情報として出してたわ』
クリスティー。情報屋だ。集める情報の多さはfluteといい勝負だろうか。ジャンルがそもそも違うので比べようがないが、おそらくひよどりよりも行動範囲は広いだろう。
そのクリスティーが保証するのだから間違いないだろう。
「クリスティーで検索する?」
『お任せよ。私は白露の情報を貰うだけだから』
電話の向こうでウィンクでもしていそうな爽やかな物言いに、思わず笑みがこぼれでる。
「……ふふっ、それもそうね」
見つかったら電話する、といって電話を切る。クリスティーのハンドルネームと菊花学園の二つの単語で検索すると、そこまで膨大な量ではないものの、それでも何千単位の件数結果が現れた。それを片端からクリックして見ていく。
「本当にあるのかしら?」
保証はある、と考えたものの、インターネットは必ず正しい情報をくれるとは限らない。もらった情報がガセばかり、ということだってある。情報屋だって何が真実かわからないままに伝え、あげくガセだったことがわかって消えていく。彼らの多くはそんなものだ。ただ、信憑性のある情報屋が多いから他の有象無象が見えないだけなのだ。
「……あ」
かちかちとクリックを繰り返して、だんだん惰性でそれをするようになった頃、目的地が見つかった。
いつもの掲示板とは全く違うデザイン。これが世にいう裏サイトだろうか。一見まともな掲示板でありながらも、そこのスレッド一覧に表示されるタイトルは俗に「坩堝」と称されるいつもの場所よりも下世話な好奇心に満ちたものが多い。
「学園で誑し込むなら誰、関係ない、……盗撮?通報するわよ……失踪事件について……これだわ」
失踪事件に関するスレッドタイトルをクリックすると、数百のレスポンスが表示される。
「湯浅要、湯浅要……あ、いた」
湯浅要の名前は丹波というハンドルネームの書き込みの中にあった。

『4月11日、湯浅要が失踪。昼休みが終わった時には既にいなかった』
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