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怪奇事件縁側日記「魔女の鏡」15
15話目です。
抜けとかあると結構大変。
では、どうぞ。

怪奇事件縁側日記 春
「魔女の鏡」

カナメチャンガシッソウシタ。
かなめちゃんがしっそうした。
要ちゃんが失踪した。
「えぇぇっ!?」
眠気が一気に醒めた。
「どういうことよ?」
『わかんない。ただ、たまたま早く起きたからパソコン起動して、ブラウザ開いていつもの所行ったら……』
「湯浅要失踪、情報求む、って?」
『そうなの、ブルームーンがかいてた、それで、えっと、』
「わかったわ。探りを入れればいいのね」
『うん……お願い』
泣きそうな声で明日華が懇願する。
要は明日華の妹分だ。
涼香はその気持ちが痛いほど分かる。
だから了解してパソコンを立ち上げた。
ブルームーンはいないかもしれない。
なにしろ待ち合わせをしていないのだから、メッセンジャーに行って彼がいなくても文句は言えないのだ。
メッセンジャーの画面が現れる。
そして、入室者の欄には、名前があった。
「ブルームーン!?」
ブルームーンは在室していた。
彼もよほど暇なのかもしれない。
『おはよう、ナズナさん』
『おはよう、ブルームーン』
呑気な挨拶もあるもので、彼は今日は晴れているのに午前中が休校なんてついてないよね、などと世間話をしてくる。それにナズナはおざなりに返事をして、本題に入ることにした。
『湯浅要が失踪、って本当なの?』
『あぁ、その話か。残念ながら本当さ』
「……残念、ね」
知らず、舌打ちをする。
『情報源は?』
『菊花学園のホームページ。夜になっても帰ってこないことを心配した両親が学校に電話、昇降口に靴があったことを確認した教師が教室を確認し、鞄が消えていることに気付く。失踪が判明した』
『また同じ手口?』
『また?』
ブルームーンは意地悪く聞いてくる。
「もう、わかっているでしょうに……」
『鞄なし、靴有りの失踪よ。山岸哲也もそうだったでしょう』
やや間があって、ブルームーンの返答がある。
『驚いた。流石はナズナさん。その通りだよ』
単純な感心。涼香は彼の中のナズナの認識にいささか疑問を感じ得なかったが、あえてそこは聞かないでおく。
問題はどうやって湯浅要が失踪したかだ。

4月11日木曜日 6時00分
「お嬢さん、おはようございます」
唯奈は若い男の声で目を覚ました。もぞもぞとベッドからはい出て、時刻を確認する。
「まだ6時じゃない……何よ」
「いえ、後1時間で朝食の時間になるのでお知らせに」
男は彼女の迷惑そうな声色を気にも掛けず、さらりとそんなことを知らせる。
「そう……」
「お嬢さん、今日は寝起きがよろしいですね」
「……まだいたの?今日は、って?」
「いつも半分夢の中で聞いてるじゃないですか」
う、と言葉に詰まる。何か嫌な予感がしてぱちりと目が開いたのだが、そんなことはあまり言いたくない。
「え、ええと、そのっ、あれよ、あれ」
「何でしょう?」
「学校の連絡網が来てたから」
適当な言い訳に、ああ、と男は頷いた。
「そう言えば失踪事件があったんでしたっけ。本当に大丈夫ですか?お送りしなくても」
「いらない。優と行くから」
「歯医者の娘さんですよね」
「ええ……待って。失踪事件?」
はっ、と気づく。
まさか、新しい失踪事件でも起きたのか。
学園側でマスコミへの報道はしていないはずだが、どこかから漏れたのか。
「ええ。お嬢さんが調べてたじゃありませんか」
「……!ちょっと、花菱、ばらさないでよ!?」
ばらしませんよ、と男は笑った。
「もう良いわ。時間になったら起きるから」
そう言ってもう一度ベッドに潜り込み、携帯電話を開く。
驚いたことに連絡網が来ていた。
『本日は職員会議のため、午前中休校となります。校舎は開いていませんので、注意してください』
「……えぇぇぇ……何よ、これだけ……?」
あまりにも期待はずれな文面にがっくりとうなだれる。もう寝てやる、と布団をかぶったが、一向に睡魔は訪れない。
「目が覚めた……」
仕方がないのでパソコンを立ち上げ、ニュース速報の菊花学園のスレッドを訪れる。
今日は誰か来ているだろうか。
早朝から来ているのもあり得なくはないわよね、と自分を引き合いに出して納得していた唯奈の見たものは、次のような文面だった。

『一年生、湯浅要失踪。情報求む』
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