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怪奇事件縁側日記「魔女の鏡」14
続きです。
そう言えば専攻きめたりとか就職のガイダンス受けたりとかしてます。
就職難って大変!
では、どうぞ。

怪奇事件縁側日記 春
「魔女の鏡」14

助けて、という声に慌てて階段を駆け下りると、そこにはリノリウムの床が広がっていた。
「……?」
誰もいなかった。確かに湯浅要の声が聞こえたはずなのに、彼女の姿はない。涼香と麻里紗は顔を見合わせ、首を傾げた。
「要ちゃんの声、聞こえたよね?」
「聞こえた……わよ?でも誰もいない……」
予鈴10分前に部活動体験も終わり、しんとした廊下は当然ながら足音一つ聞こえない。赤いバラと黄色いバラがてっぺんに付いた、金色の縁取りの鏡があるだけだ。
「いたはずなのに……おかしいわね」
「ん……」
麻理紗は頷くと、階段を駆け下りた。
「要ちゃーん?……聞こえてるはずなんだけどな……」
「そうよね……?」
一瞬、横目で眺めた鏡がきらりと光った気がしてそちらを向く。
何もない。
「どうしたの?室宮さん」
「ううん、何でもない」
「私、とりあえず部室行ってみるね」
そう言ってとんとんと階段を上がり、彼女は部室へと向かった。
「……この鏡……?」
また、きらりと光ったような気がする。
頭のどこかで違和感を感じながら、涼香はそれを気のせいだと断じた。
「……どうせ思い違いでしょ……教室行こ」

結局、湯浅要とはこの日、誰も一度も会わなかった。

翌朝のことだ。
鳴った携帯電話に涼香が手を伸ばすと、学校からの連絡網だった。
「なによもう……」
低血圧の寝ぼけ眼で画面を見て、一瞬なんて書いてあるのかわからなかった。
『本日は職員会議のため、午前中休校となります。校舎は開いていませんので、注意してください』
「休校……ね」
いずれにせよ、明日華からのモーニングコールはまだ先だ。そう思って再び眠ろうとしたそのとき、モーツァルトのメロディーが響いた。
「ん……なに?明日華」
眠そうな声で答えてやると、明日華の慌てたような声が飛び込んできた。
『大変だよ涼香!かっ……要ちゃんがっ』
「要ちゃん?要ちゃんがどうしたの」
『失踪したって!』
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