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創作ブログ(旧『花待館』)です。 なお、当館内に掲載しております作品等については著作権を放棄しておりません。

「杉田真由子の探偵日記」1
「杉田真由子の探偵日記」シリーズ第3作目となる「魔女の狩人殺人事件」のプロローグです。
1作目と2作目は「誘絵巻」を一緒に経営している淺葉さくらさんが書かれていますが、この作品単体でも十分お楽しみいただけると思います。
キャラ紹介はINDEXからどうぞ。
では、どうぞ。

「杉田真由子の探偵日記」
魔女の狩人殺人事件
プロローグ

中世ヨーロッパには魔女と呼ばれる者たちがいたという。
魔女は邪悪な存在だと言われていたという。

当時の人々はキリスト教に刃向かう魔女たちを聖なる裁きを以て倒したという。
本当に魔女がいたのか、そんなことは些細なことだ。

魔女が邪悪で、傲慢で、滅すべき存在ならば、火にかけても赦されるのだから。

あぁ、ならば。

それならば。

平和な楽園を邪悪な意志で焼き尽くした者たちは魔女ではないのか?

彼の者たちが魔女だというなら、聖なる裁きで断罪すべきでは?

そうだ。

幸せを引き裂いた魔女たちは、苦悶の炎に灼かれながら、罪と罰の責め苦が待つ、地獄に落ちてゆけばいい……!



神様、私は罪を犯しました。

永遠の煉獄に落ちるべきなのは私なのでしょうか。

けれど、私は……。

その日は曇りの多いロンドンに雪が舞っていました。
珍しいことだと思いましたが、冷えた体を震わせて暖を取るのに一生懸命で、とても珍しがる気にはなりませんでした。なぜなら冷えていたのは身体だけではなかったからです。
何枚上着を重ねても、どんなに暖かい部屋にいても、指の先は冷たく、心はいつも凍えていました。
どうして凍えているのかなんて、分かり切っています。
どうしたら暖かくなるのかも分かっています。
けれど私には、その方法を実行することが出来ませんでした。
私はひどく臆病者で、他人には気取られないけれどひどく人の目を気にする性質なのです。いつもにこにこ笑って、ただ頷くしかできない哀れな人形なのです。
けれど、そんな人形を飽きたからといって捨てても良いものなのでしょうか?次の人形を抱きしめて、捨てられた人形に、飽きさせるお前が悪いと嘲笑っても良いものなのでしょうか?
そんなことを考えて、急に吹いた風に身をすくませたときでした。
『大丈夫ですか?』
傘を差していない私に傘を差し掛けて、ショールを貸してくれた人がいました。
『ありがとうございます』
その人は私のお礼に上品に微笑んでくれました。私の手を取って、こんなに冷えていらっしゃる、と言いました。神様、私の話はそこから始まるのです……。
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