短編集詰め合わせ オリジナル編

拍手をですね、つけてるんですよ、一応。
なんですが、あんまりぱちぱちがない(記事にも拍手あるからかな?こっちは結構いただいています。ありがとうございます!)ので、どうしようかなと考え中。
で、結構な間拍手に置いておいた短文を詰め合わせにしてみました。
作品としては、未連載の「三幻燭の塔」、「天井創空伝説」、連載した「龍霊使い」、完全オリジナルです。キャラはこれから出てくるのもいるし、そうでないのも。
では、どうぞ。
あ、ブログランキングを記事ではなく欄外に貼り付けました。是非お願いします。

「Like a swan」(三幻燭の塔)

思い出したくもない思い出に、独りで思案する。
何故、こうなったんだろう?

思い出せない。

翠は独り、考える。

もし、あの時、自分の運命を決定づけたときに最後に見た、白鳥のように、大空を飛べたなら。
自由という名の大空を駆けることが出来るのならば。
「私は……」
そこまで考えて、沈黙した。
どうだと言うんだろう。彼女は失笑して式神の猫の頭を撫でた。
「そっか……もうそんな時間?」
にゃうん、と猫は鳴く。
どうやら考え事をしている間に、神社の裏手の山まで、来てしまったらしい。
遠くから神主が自分を呼ぶ声がする。
「今行く!」
叫び返して、明るい顔できびすを返した。
飛べなくても、ここからならば飛び立てる。

白鳥じゃなくて、自分らしく。否、大空よりも、制約のある中での自由を駆けるために。

構想を練るために書きましたが、ちょっとわかりにくいですね……。


「Parsley, sage, rosemary and thyme」

闇の中だった。
−−−静流、静流!
誰かが、自分の名前を呼んでいる。けれど、姿は見えず、手のひらもつかめない。
自らの叫び声で静流はハッと目を覚まし、辺りを見回した。
「夢……?」
なんだったんだ、今のは、とつぶやき、ほっと息をつく。寝床の障子の開く音がした。
「兄さん?」
「睦月……」
現れた弟は、彼の姿に顔をしかめた。
「……寝汗、すごいよ?また、見たの?」
また、とは先ほどの夢。何かが呼んでいて、姿は見えない、夢。
−−−そうだったのか?
違う気がするけど、否定出来ない。

あの、静流、と呼ぶ声の柔らかさ。
そう、それは、神社の女性とは明らかに異なるもののようで、異ならない。

「ところで……今日、なんだろ?」
「……ああ」
「僕、行くけど?……どうする?」

どうしよう。
少し、少しだけ静流は考えた。
「Parsley, sage, rosemary and thyme……」
「え?」
「パセリ、セージ、ローズマリー、それにタイム。花束にして、持っていってくれないか?」
「……なんで」
「気持ちの整理がつかないから」
長い髪をぐしゃりと握りながらはき出した静流に、睦月は頷いた。
「はいはい」

もう少し。もう少しだけ、待ちたい。
だから……。

本編でも静流はけっこうへたれたところのある男だと思います。


「月見れば」

月を見て思い出さないわけがない。
月の名を持つ、神の名を、いや、自分の名前を。

今宵、満月。

夜代はスカートを翻して、現場に向かう。

天女から、連絡を貰った。むろん、マンガか何かの世界の話だと思っていた、変身ヒロインの仕事の件で。
−−−天女なのに、携帯に連絡なんて。
それなのに変身は一瞬(ページの問題でマンガでは当たり前かもしれない)、コスチュームはそれこそ平安時代ぐらいの着物。しかも彼女は狩衣だ。
何かが違う!そう叫びたいのを堪えて、走った。

高層ビルの一階の鉄骨。そこに、今日の敵がいる。もう短いスカートがめくれるとか、なんで私服で来たんだろうとか、そんなことはどうでもよくなったし、なんで自分が月の神なんだろう、と煩悶することもあきらめた。

高い高いビルという名のお城を包む、禍々しいオーラを突き破れば、たちまち彼女は神になる。

今宵満月、

天月夜代は、月光澄神夜城として、戦うことにする。
それが、今の自分のすべきことだから。

オフでは3年前に完結してるんですけど、グレードアップして戻ってこれたらいいな。


「Ave Maria」(完全オリジナル)

伸びの良い声が、誰もいないホールに響く。
神聖な大聖堂に、歌が満ちてゆく。
歌声だけに支配された空間。声を支える、オーケストラも、ピアノも、バックコーラスさえなく。

彼女は、ただ、歌う。

ヨーロッパの大聖堂は自信と、実力をつけてくれるから。グノーの曲を歌いながら、頭の中で美しい調べを思い描いた。ヴァイオリンを弾く時とは少し違う陶酔感。
ステンドグラスの所為だろうか?
それとも、何か、大事な物がここにあるから?
とにかく、スランプにも、絶好調な時にも、必ず自分はここを訪れて、歌っていた気がする。

しかも、色々な曲を。
彼女にとっての、帰り着ける場所。
この広い大聖堂。いや、音楽という、存在そのものか。
音楽以外の道は、いろいろあってやっぱり辛いけど。

ホテルの部屋に帰ればまた日本とインターネットで繋がれる。とくにはなにもしないけれど、つながっていられる安定感がある。
それは決して、辛いことじゃない。でも、3日後のコンクールには、多大な影響があるかもしれない。
さぼりになるかもしれないから。
けれど、結果は毎回毎回、わからないから。だから楽しい。

だから、部屋に帰り着くまでは。

このステンドグラスを通して注がれる陽光のスポットライトの中で。

歌うことの出来る、祝福を。

最初は合作用に書いた物でしたが、変えました。


「カヴァレリア・ルスティカーナ」

みさきは楽譜を見て、うっかりそれを取り落としそうになった。
−−−やられた!
玲に渡された楽譜は「魔王」。シューベルトの、嵐の夜、魔王が子供を父の手から奪ってしまう男性ソロ曲。普通、ヘ音記号で書かれた楽譜は男性が歌うのだが、何故かそれがみさきの手元にある。
「ちょっと、玲!」
玲は抗議を聞くなりめんどくさそうに経緯を話す。
「なぁ〜によ。星李通して安月君に聞いたらそれが良いって」
「なによそれ〜!」
彼は上司たる自分のことをなんだと思っているんだろうかと、みさきが抗議の声をあげると、玲は何よ?としかめっ面をして見せた。
「こんな選曲だから星李とか安月君とかもてつだわせようかと思ったんだけど、星李は仕事、安月君も仕事、真は他の用事とかで捕まらなくって」
「……ほぉ……どうりで嫌みな選曲……」
紅音が鬱々とした声で実に憂鬱そうに言った。あとで首謀者を懲らしめてやろうという含みがまんべんなく入っている。それもそのはず、彼女に手渡されたのは「熊ん蜂の飛行」。早引きのフレーズが延々と続くものである。しばらく残業続きで弾いていないことを知っていた上でこの選曲なのだから、いろいろな意味で酷い物である。
「何のイヤガラセだ、あいつら〜っ!」
「アンタなんかまだ良い方じゃない!」
玲はどうやら「動物の謝肉祭」の「化石」。怒るのも当然かもしれない……題名だけ見れば。選曲組は悪気はないのだろうけれども、三人は美しい顔に陰りを見せていた。

「でも……」
三人は一つの楽譜を前にして、溜息を吐いた。
「誰よ?四角関係」
「知らない」
「つーか、最後主人公、死ぬだろ、アレ」
それは、「カヴァレリア・ルスティカーナ」の楽譜。有名な間奏曲だ。主人公サントゥッツァはかつての恋人ローラと不倫関係に陥り、それに嫉妬した彼の恋人が彼女の夫に告げ口をし、サントゥッツァとローラの夫は決闘をしてサントゥッツァは死んでゆく、という歌劇である。
みさきはこれを生で見たときには、正直他人事とは思えなかった。彼女自身、待つのが苦しい恋をしていたからかもしれない。けれど次にDVDで見たときは、サントゥッツァにご愁傷様といいたくなった。
自分は、恋人と共に生きていられるから。
だから、彼が生まれ変わったら、ローラと共に生きられるようにと、ねがったのだ。

そういえばみさきは声楽もやってました。

テーマ : ショート・ストーリー - ジャンル : 小説・文学

コメント

お返事

お久しぶりです、紅崎です。
まず、ブログ拍手、ありがとうございました。拍手でコメントをいただいたのは初めてで、とても嬉しかったです。
コメントの件、スパムメール対策をした時に何か手違いがあってお手を煩わせてしまってすみません!次からはこの様なことが起きないようにいたします。
では、またのご来館、お待ちしております。

はくしゅしました、とコメントつけようとしたら

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プロフィール

紅崎姫都香

Author:紅崎姫都香
誕生日:昭和天皇の誕生日の前日(要するに4月28日です)
血液型:A
趣味:小説書き、イラスト描き、楽器演奏
年齢:19。
好きな物(漫画と小説):いろいろ。ブログで書いているモノがそうです。
カップリングは叫んでるやつです。

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