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創作ブログ(旧『花待館』)です。 なお、当館内に掲載しております作品等については著作権を放棄しておりません。

花の微笑み
本日二本目。何故か手を出した銀/魂二次創作の二発目です。
九ちゃんが大好きなので、九ちゃん絡みのカップリングで何か書こうかなとか思ったら、丁度以前「銀九書きたい」とか友達に言っていたのを思い出して、ついでに志方あきこさんのCDにも触発されて、桃の節句ネタ。しかもまた前後編。
そう言えば、桃の節句ってもともとは汚れを払うためだそうですが、江戸時代にはもう飾るようになってたそうなので……幕末じゃあ汚れも何もですね。
では、どうぞ。
あ、カップリング合わない方はスルーでよろしくです。

『花の微笑み』



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桃の花びらが開くように、愛しい人の幸せそうな微笑みを見ることが、出来ればいい。
そうするためには、もう一歩、あと一歩。

まだ寒さの残る、よく晴れた午後の万事屋の出来事である。
「九兵衛、お前んちはやんねえの?」
「なにを?」
隣に座った怪訝そうな隻眼に、銀時は時期を読め、とつっこみそうになった。

もう二月も終わりである。次は三月。ホワイトデー……ではなくて、その前にひな祭りがある。ひな祭りと言えば、桃の節句。五月の端午の節句と対になる行事である。
たまたま、稽古休みだったとかで九兵衛の来たのが今日で、たまたま新八と神楽は志村家にいっていたのも今日だった。
一人残った銀時が安物のお茶と彼女の手みやげの和菓子でもてなして、何かの話の拍子にこの流れになったのである。
「ひな祭り」
「君は何を言いたいんだ」
九兵衛はいささか不機嫌そうに睨んでくる。
彼女が男として育てられたのなんて、知っている。
けれど、銀時の中では、柳生九兵衛という存在は、女でしかない。
「だから、セレブ柳生家のひな祭りだったらさぞかし豪勢に甘い物も出るんだろうな~とか銀さんもおこぼれにあずかりたいな~とか思ってるわけじゃないからね」
嘘である。
半ばなし崩し的に女として生きることを九兵衛の選択肢に加えた柳生家で、もしもささやかだとしてもひな祭りが行われるのであれば、血糖値がどんなにぎりぎりでも甘味好きの彼としては、是非ともおじゃまして、幸せそうな彼女の側でたらふく好物を食べたいな~などと思っているのである。
「……ひな祭りに便乗して甘い物が食べたいのなら妙ちゃんに頼めばいいだろう」
九兵衛のいうことも尤もではある。
彼女の幼なじみの妙ならば確実にひな祭りをやるだろう。それに。
「それに、男として育てられて、ひな祭りなんて今更……やってくれなんて言えるはずがない」
苦しそうな声。
九兵衛からままごともあやとりも綺麗な女物の着物も取り上げてしまった柳生家で、はたしてそんなことができるだろうか。そう言いたいのだろう。
いや、出来る出来ないの問題ではなく、この場合はきっと、微妙な距離感をとったままの親子が、身動きがとれなくなっているだけなのだろうから、どちらかの背を押してやれば解決出来るのだろうけど。
本当は娘の九兵衛を息子と偽る重しをかけられていた親と、心の内を押し隠して身も心も男と偽る重しをかけられていた娘が、重しをとられて双方どうしたらいいかわからないだけなのだろう。
ならば、この親子が距離をとる理由は、もういらないだろう。
娘の背を押してやればいいだけの話。
「言ってみりゃいいじゃん」
何を、と言いかけた唇に、自分のそれを近づける。彼女の右目が大きく開く。
触れないところで、ぴたりと止める。
「ひな祭り、やって欲しいって」
「人形があるのかもわからん」
「買って貰えばいいじゃん」
「だから、」
「俺は九兵衛んちで、ひな祭りがしたい」
唇を耳元に移動して囁いてやると、たちまち九兵衛の顔は真っ赤に染まる。
「きっ……君は甘い物が食べたいだけだろう!」
振り向いてそう言い放ち、席を立とうとする彼女の腰を、抱き寄せた。投げ飛ばされないことに、安堵する。合コン以来、慣れたのだろうか?
「だからね」
そう言って銀時は片手で九兵衛のポニーテールを梳く。

自分の、そして、彼女の退路を、絶った。
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