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創作ブログ(旧『花待館』)です。 なお、当館内に掲載しております作品等については著作権を放棄しておりません。

「Shall we dance?」
うっきゃ~。どーしましょ。
ひさびさ!と思ったら、どうやらスランプ到来なようです。ひたすら甘くなる。書いてる私も悶絶。

ってわけで、どうぞ。「海咲き草」のあのカップルです。
「え……聞いてないわよ!」
腰を浮かせる愛良の真ん前で、七海は「まぁ、ドンマイ」などと無責任なことを言ってのけた。

『Shall we dance?』

「で……私は何で今頃こんな所にいるんだろ……」
愛良はどよん、とした顔で溜息を吐いた。
「そして何でアンタもこんな所にいるのかしら……ねぇ?」
そう言って、彼女は恨めしげに同伴者である相介を睨んだ。愛良の恋人というポジションを長きに渡って取っている彼も、さすがにこの雰囲気は勘弁したいらしく、おとなしく白状した。
「実はちょいまえに藤明から電話が来て……」

『はぁ?ダンスパーティだと!?』
『いいだろ~?スポンサー候補がいっぱいだし』
確かに、自分たちの劇団である「サクラ座」には全くもってスポンサーがいない。というか、役者にお嬢様(美都と七海)と御曹司(認めたくないが藤明のことだ)がいるから、何でもかんでもポケットマネーで済ませてきた、と言う方が正しい。
『おまえら……口座でも凍結された?』
『怖いこと言うな。そんなわけないだろうに。俺の知り合いの企業家の娘が見合いするらしくて、その為のパーティ』
『……お前、まさか……』
そう言えば、藤明と七海は婚約者という間柄だと言うことを彼は長きに渡って忘れていた。そして、藤明の一人称が『俺』と言うことが、その真剣みを物語っていた。
『ん?』
『七海と喧嘩でも……じゃなくて、破局でもしたか?』
『してない。見合い相手を見つけるために、将来有望なオンゾウシにオサソイカケトイテクダサイ、だと』
『俺は御曹子じゃないんだが』
『知ってる。つーかお前んち、とっとと愛良ん所とくっついたらどうだ?』
『余計なお世話だ』
そう言ってやると、藤明は電話の向こうで苦笑した。
『だから、そこでスポンサー見つけるんだよ。うちのオジョーサマがたならどっかの御曹子2,3人は落とせるだろ』
『お前……』
藤明の腹黒い企みを聞いて、相介は溜息を吐いた。
『で、場所はだな……』

「……というわけ」
「……ということは、スポンサー集め……なんだ」
「そう。ほれ」
相介の視線の先には淡いオレンジのカクテルドレスを着た七海が艶に微笑んでせっせと営業していた。
「……て、これダンスパーティじゃ……」
「うん」
「ダンスって、あれ?」
「あれ。タイタニック」
「……ワルツとかいえよ……」
呆れ返った愛良の耳に、聞き覚えのある音楽が入ってきた。
「あ……これ」
ストリングスの軽快な4拍子。フルートの旋律。ピアノの音色。
気がつけば、相介に腕を取られていた。
「……相介?」
「これでも、踊れるだろ」
「え、あ……うん」
マーメイドラインのドレスから剥き出しになった二の腕を取られて、愛良は思わず赤面する。相介の掌が、腕をなぞって掌に行き着く。その感触にどきりとしながら、彼女は彼の手を取った。
そして、広間に出て、ステップを踏む。それまでのほんの短い時間に、彼は彼女の手に口付けを落とした。そして、耳元で囁く。
「Shall we dance?」
彼女の頬が、紅く染まるのを感じながら。

おわり

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