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創作ブログ(旧『花待館』)です。 なお、当館内に掲載しております作品等については著作権を放棄しておりません。

「ネクタイを結ぶ意味」
わほう!先日「paranoia」様に贈らせて頂いたSSです。
そしたらなんと!イラストを頂いちゃったんです!嬉しい~!
次はまたギャグになって、それからかな。オリジナル。
ってわけで、どうぞ。
『ネクタイを結ぶ意味』

「いつの間にシャツに替えたんだ?」
「え、昨日買ってきたの。どう?」
彼と彼女の間でそんな会話が交わされたのはつい先日。

そして、数日後である今日。

「ほら、これ」
「え?」
誕生日でもないのに彼--セルトから差し出された包みに、彼女は目を丸くした。
「いいから」
「あ、ありがと……」
「どういたしまして。この間のチョーカーのお礼だ」
「あ……」
なるほど、と彼女はぽんと手を打った。
先日贈ったチョーカーの礼という包みを解くと、中にはしっとりと落ち着いた色合いのネクタイがたたんであった。
「うわ……ど、どうしたの?これ……」
「いや、偶然店で見かけて……」
この間お前が見てたの思い出して買った、という訳らしい。なんだか焦るかのようなセルトの仕草に、彼女は思わず笑みをこぼす。
「ありがとう……覚えててくれたんだ」
「あ、ああ」
「すごく嬉しい」
そう言って、彼女ははにかんだように微笑んだ。
「ゆ、夕飯、用意してあるから」
「わぁ、美味しそう!」
彼女の照れたような視線から逃れるためか、慌てて彼は夕食を取り出す。
「ブイヤベースにパン。焼きたて」
「え~っ!すご~い!」
感嘆の声を素直にあげて、彼女は夕食を食べ始めた。
「でも、このネクタイ……結構高かったでしょ?」
「……チョーカー買う金があるやつに言われたくない」
「まぁそうだけど……でも、本当に覚えててくれるなんて」
嬉しそうにネクタイを見つめていたその双眸が、不意にセルトの方を向く。
「そういえば、セルト」
「ん?」
「チョーカー、つけてくれてるんだ」
「ああ」
「似合うよ」
そう言うと、彼女は食事を終了した。そして、これまた不意にセルトの腕をきゅっと握った。
「!?」
「ありがと」
「あ、ああ」
そうだ、と彼女が言った。
「チョーカーつけてくれてるお礼にいいこと教えてあげる」
「は?」
「チョーカーの時、あとから気がついたんだけど、男女、逆だよ、あれ」
「……」
確かに、アクセサリーを贈って独占欲といわれるのは一般的には男性の方が多い。が、たまたま前回は彼女が買ってきて、贈った。
「まぁ、今回もなんだけど……ホントは私がネクタイ買ってくるべきだったね」
「……?」
「異性にネクタイを贈るのは……束縛したいから……って」
「……!」
セルトの頬が紅く染まる。
「でも……セルトなら……私……」
「なっ……俺はそんな意味じゃなくて……」
「……」
「ただ、シャツ着てたから、似合うかと……」
「……わかってる」
ますます紅くなってしまった彼に、彼女は微笑みを向けると、自分の部屋に向かった。
去り際に、感謝の言葉を残して。
「……これは……重症……か?」
セルトの呟きと共に、夜は更けていく。

おわり。
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