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創作ブログ(旧『花待館』)です。 なお、当館内に掲載しております作品等については著作権を放棄しておりません。

「The Sound of Music 」
わっほう!
祝☆4000HIT!!
んもう嬉しい限りです!
というわけで、コネタ。
とりあえず、拍手で真由ちゃんが沈みまくりなのでイギリス版の最後に出てきた人と真由子で。
でもなんかラブラブにはならないらしいです。しかも短いです。

では、どうぞ。

「The Sound of Music 」
「ねぇ」
真由子は、ピアノの鍵盤から指を離して問いかけた。
「ねぇってば」
ぱらり、と楽譜がめくれる。目の前の彼は神妙な顔して、ピアノを見つめている。
「ちょっと!」
思いあまって袖を引けば、彼は小首をかしげて彼女を見た。
「ん?」
「曲、終わったけど?」
「ん、まぁいいんじゃない?」
「……」
「うん、大分上達したと思うよ?」
「何で疑問形……」
真由子はふくれっ面。

ピアノは小さい頃にやっていた。情操教育、として。
それが強制される練習に嫌気が差して、いつの間にか好きだから、ではなくて、怒られるから、でピアノを弾いている自分がいた。
それから、ピアノをやめていた。
音感はあるから、音楽の世界に片足を突っ込んで。シンセサイザーにアコーディオン、スネアドラムからグロッケンまで、音と接して生きてきた。そして、中学の頃に、持病を治すために入った吹奏楽部でトランペットと出会い、以来、大学に入ってホルンになっても、ずっと吹奏楽を続けている。

「いや、今になってやりたいって言い出した私も悪いんだけどさ……」
「……まぁ、基礎は出来てるから……でも何でピアノ?声楽はどうしたの?」
彼が意外そうに問う。
「先生に、ついてないし……」
そう。真由子がすっぱり音楽で生計を立てる夢をやめてしまった理由の一つは、師匠がいないと言うこと。
もともとピアノのレッスンの一環でくっついてきた歌は、小学校で音楽教師に褒められて以来、彼女の一番の素養となっている。
「別についてないからって……」
「だって、もう下手だもん。コーラス部じゃないし」
「……いや、それ関係ないから……っていうか、まだ気にしてたんだ……」
高校一年生の時、ソロのテストで大失敗をした。緊張故に声が出ず、いつもの実力は消えてしまい、顔が強張った悔しさばかりが残った。
「……いや、だって……ソロなんて私……」
俯いて、下手すれば泣き出しかねない真由子に、彼は本当に困った表情を浮かべた。
「でも……真由ちゃんは緊張しなきゃ出来る子でしょ」
はっ、と顔が上がる。
「僕もそんなもんだし。ソロってそんなもんだよ」
「……うん……そうかも」
「一曲、歌ってく?」
「うん」
真由子が席を立つ。彼が座って指を載せる。

ピアノが、歌い出す。

「The hills are alive with the sound of music
With songs they have sung for a thousand years
The hills fill my heart with the sound of music
My heart wants to sing every song it hears

My heart wants to beat like the wings of the birds
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