fc2ブログ
創作ブログ(旧『花待館』)です。 なお、当館内に掲載しております作品等については著作権を放棄しておりません。

「Choker」
ぃやっほぅ~!
またまた二次創作です。
今回は留学編。
でもまだ色々書きたいことが。
まあそれは置いておきまして、今回のお話はシェイクスピアの「ヴェニスの商人」をふまえたお話なので、一応リンクを張っておきます。(ウィキペディアです)

では、どうぞ。

「Choker」
「ただいま~」
「……おそい」
セルトはグラスを拭きながら下宿人を出迎えた。
「そんな遅いかな……」
「今何時だと思っているんだ!」
「え~っと……22時?」
「遅すぎるにも程があるだろ!」
「え~……でも、モルガンさんが送ってくれたし……」
「そういう問題か?」
あっけらかんと言い放つ彼女に、セルトは頭を抱えた。こんなとき、兄ならなんというんだろうか。ケスタロージャなら?
「でも、ほら!セルトにお土産」
「……写真とってきたんじゃ……」
「それはこっち。ちょっと街で見かけて」
彼女が買ってきたのはくすんだ銀のチョーカー。小さな十字架を象られていて、結構な値段がしそうなものだ。
「……お前、どこからそんな大金……」
そう言いかければ、彼女は露骨に目を泳がせた。
「え?夜店で買ったあっちこっちにさびだらけの安物……」
「……目をそらして変なことを言うな」
「有名な台詞なのに」
「……そこでシェイクスピアを使うか?普通」
「使わないかな?」
彼女が小首をかしげる。
「使わない。ほら、夕飯とっておいたから」
「わぁ、ラングスティーヌのカネロニ!」
出した料理を喜んで食べるその様に、セルトは自然と嬉しくなった。
「あ、そうだ、セルトにはちょっときついかも……」
「え……」
「ネリサ」
「……それはゆるい、だろ」
「首周りは細いわよ」
「……ま、普通は、な……で、なんでポーシャじゃないんだ?」
「だって、セルトはバサーニオじゃないもん」
「!」
美しくて気品ある、金持ちの令嬢ではなく、令嬢に仕えるメイドで、夫のグレイシアーノ曰わくの「メスゴリラ(これは終盤で、ネリサがグレイシアーノを投げ飛ばすシーン故なのだが)」と称される女に自分を例えた少女を見るのは初めてだった。
彼が警察に勤めていた頃も、バールの仕事をはじめてからも、交流を持った女といえば、(色々な意味での)自信に満ちあふれ、ある意味では自意識過剰とも言って良いくらいの者ばかりだったからかもしれない。
そして、ある意味では主人よりも目立つ存在に自分を例えた少女を、普段の動向に照らし合わせて、思う。
---合っている、かもしれないな。
朝、家を出たきり帰るのは6時過ぎ。ときには公園で露店を広げていることだってある。散歩と来れば必ず遠くまで歩いていって、疲れ果てて帰ってくる。
---というか、いつ、首周りなんか測ったんだ?
そんなことを頼まれた覚えは彼にもないし、測られたこともなかった。けれども、渡されたチョーカーはきつくもゆるくもなく、温かく光る電灯へ輝くこともなければ、さびもなかった。
新品なのだから、当たり前かもしれないが。
彼女の主張は、まだ続く。
「グレイシアーノは『誓わされた』とか言ってるけど、本当はきっと、ネリサのことがすごく好きなんだから!……多分」
「そうか」
食事を終えた彼女に、水を渡す。
「じゃあ、これは俺が死ぬまで大事にしないと……な」
そう耳元で囁いてやれば、彼女は途端に真っ赤になる。
「セルト……」
「お前、知らないで買ってきただろ……これ」
「え……?」
「異性にアクセサリーを贈るのは、独占欲の表れなんだとさ」
「……!」
更に真っ赤になって、口をぱくぱくさせている彼女に、セルトは思わず吹き出した。
「な、何よぅ!」
「あんまり真剣に照れているから……どうせそんなつもりじゃないんだろ」
「うん」
「分かってるから……これ、ありがとうな。大事に使わせて貰うよ」
「……!うん!」
彼女の顔が、華やぐように綻んだ。
まるで、この近くに咲く花のように。
そして二人は、グレイシアーノとネリサ。

おわり
スポンサーサイト




Comment

 秘密にする

Track Back
TB*URL

Copyright © 胡蝶苑. all rights reserved.