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海咲き草Ⅰ 第一話
はい、ちゃんと始動しました、「海咲き草」。前に一話から載せると書いたんですが、ストーリーの都合上、2部に分けて連載することにしました。
では、どうぞ。


人物紹介
飛花藤絹(ひばなとうき)……冬輝の忠臣。
龍妃(たつひ)……藤絹に仕えるドラゴン。


---嗚呼、なにがこの国を滅ぼさんとするのか。何故、この花は枯れそうなのか。
このままでは、この国もあの国も滅んでしまう。それどころか、陸地全体の運命さえも。
これを救えるのは……あの二人だけ。
母なる海の魂を宿す、あの二人だけ------------

海咲き草Ⅰ~空と海と、この世界~

第一話 始まり

「葵ちゃん、これ、なんだろう?」
「これ?」
ある夏の日のことである。まだあどけない少女二人が、砂浜にきらりと光るものを見つけて、かけよってきた。
「うん、これ」
「う~ん……」
葵と呼ばれた少女は幼い顔に疑問を並べて、小さく、わかんない、と呟いた。
「百合ちゃんは?」
「う~ん……わかんない」
百合と呼ばれた少女も首をかしげて答える。ちなみに、光るものは龍の形を模した蒼いガラス細工だったが、半分砂に埋もれていたため、二人に分からないのも無理はない。
「……ゴミ?」
「あ~、この辺多いらしいよ?」
百合が呟き、葵が小学生らしからぬ答えを返したその時だった。
---ゴミではありません!
やおら甲高い声が響いたかと思うと、太陽の光よりは幾分か柔らかいそれが広がる。
「きゃっ」
「すご~い、RPG……」
短い悲鳴を上げる葵とは対照的にRPG演出に感動する百合。光が止むと、その二人の前には、少年とドラゴンが立っていた。
「ゴミではありません……全くあなた達は」
少年は呆れたように言うと、恭しくお辞儀をした。ポカンと間抜け面をする二人に、少年と呼ぶには幼すぎる彼は言葉を掛けた。
「あなた方に、おたずねします」
「?」
「一番清らかな水と、土はどこですか?」

「一番清らかな水と土?」
「水も土も、この辺にいっぱいあるじゃない!」
「……そういう問題ではないのです」
なかなか話が進まない3人に痺れを切らして、ドラゴンは話しかけた。
「藤絹さま、ここは私からお話しいたしましょうか?」
「あぁ……よろしくお願いします」
「かしこまりました」
「ドラゴンがしゃべった!?」
「やっぱりRPG……」
「名乗りが遅れてすみませんでした。このお方は飛花藤絹さま、私は龍妃と申します。神潟葵さまと、神羽百合さま、ですね?」
「うん」
「?」
「私たちはこの海の下にある琉潮国から参りました」
「……?」
「うん?」
「私ども琉潮国とこの日本国は運命を共にしております」
「うん」
「うん」
「ですが、その運命を握る、琉潮国の国花が今、存亡の危機にあるのです」
「……?」
龍妃は語った。
先の大戦から世界の国々や日本が立ち直り、経済的にも成長していく過程で、環境はどんどん汚れていったこと。そして、それに比例するかのように、琉潮国の先代から引き継いで王女が守っている国花・海咲き草が元気を無くしていったこと。
「王女……冬輝様も随分そのことを気に掛けておいでで……」
「うん……」
「で、枯れちゃったらどうなるの?」
「この国も……滅んでしまいます」
驚きで、二人の目が極限まで見開かれた。
「あなた方しかいないんです……私たちの存在が見えるのは……そして、同時に国を救えるのは……」
藤絹が、二人を見据えて、言った。
「私たちと共に、探してくれませんか?」
つづく
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