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創作ブログ(旧『花待館』)です。 なお、当館内に掲載しております作品等については著作権を放棄しておりません。

龍霊使い11
♪甍の波と雲の波~
こんにちは。
てか昨日キャスリーン話をおしまいにする予定だったんですけど、なんかアニメのだめ見て、かちかち小説打ってたらどうしても絵が描きたくなって、描いちゃいました。
そういえば今日はこどもの日ですね~。

そういえば、某オンラインゲームで、目当てのキャラをクリア出来ました。そして気付いたら引退出来るようになっていた……。(まて、勉強はどうした)

そんなこんなで、全く関係ない話のあとに、第十一話。
やっとこのサブタイ話はおしまい。
では、どうぞ。

第十一話 女王陛下に忠誠を5

霊安室に横たえられた神堂縹は相変わらず綺麗で、眠っているようだった。
玲は彼女に近づいて、その口許に手をかざす。当然ながら息はしていない。
「変な感じ……」
「……」
「眠っているみたいなのに……これが……永遠の眠りだなんて」
「……ああ」
感傷に浸りながらも、玲の紅い眼は髪の毛の隙間から、僅かに立ち上る何かの残滓をしっかりととらえていた。
「あれは……」
「それを調べて欲しいんだ」
「そう……」
前髪が上げられる。ぎらりと紅い瞳が光って、瞬時にそれを読みとった。
―――ペット……狐?……キャスリーン。……捨てられた、ねぇ……。恨み?
「なんか、不穏な感じ」
「え?」
「また、来るわね……彼女の身体を狙って」
「そう」
「勝算はあるの?」
「ない」
「……え?」
「どんな奴か分かんないから、無い」
「……もう……」
星李の全くもってそっけない態度に、玲は密かに溜息を吐いた。

「……なんだよ……出張終わったらひとっ走りしていいって言ってたのに、みさきの奴……」
紅音はみさきからの連絡を受けて、ご愛用のバイクに跨ってアクアローズ国際病院にむけて走っていた。途中、コンビニに立ち寄って、電話を掛けた。
「あ、もしもし?私。……ああ、行きたかったんだけど、無理だった。……そう、事件らしい……え?……だめだ!お前ら、いくら巡査だからって管轄外だろう!私はいいんだよっ!……いや、少年課だしっ……わかった。切るぞ」
相手が共に生きたいとごねるのを無理矢理ねじ伏せて、彼女は電話を切った。
紅音は、今、暴走族チーム「光迅」のリーダーをしている。暴走族と言えば聞こえは悪いが、中身は市民を守る警護集団のような者である。本日はひとっ走りとは言え繁華街の見回りをする予定で、しかも紅音はそれを結構楽しみにしていた。電話を切って不機嫌なのもうなずけるだろう。
「さて……行くか」
再び彼女はバイクに跨って病院を目指した。
「あぁ、紅音。おかえり~」
「……遅いじゃない」
「てめぇ……」
ひらひらと手を振る玲とは対照的に、微妙に皮肉気味の口調のみさきに、紅音はギロリと睨みをきかせた。
「……で、何なんだ?」
「今朝未明の事件」
「……アレ、か。実は、今日の出張で聞いたことなんだが、お稲荷さんの供え物、あるだろ?」
「ええ」
「あれが、無くなってるらしいんだ」
「どういうことだ?」
「活力にしている可能性が高い……来るんじゃねえか?今日あたり」
「……だろうな」
「……そこまで分かったんなら、勝算は!?」
「だから、無い」
「ないじゃないでしょ――――――――――――――っ!!!!!!!!」
星李のあんまりと言えばあんまりな返答に、玲の叫びが地下一階に木霊した。
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「で、警視……何の用ですか……人の休暇をわざわざ奪うなんて」
再び11階のカフェテリア。ばっちり私服のままで仕事に来た唐也の第一声がコレだった。
「あら、いいでしょ~。どうせ星李に会えるんだし」
「……あなた、私を下僕か何かと間違えてませんか?」
「間違えてないわよ」
「……絶対嘘だ!」
「何よ、文句あるわけ?」
「ありますよ!ていうか、なんでこんな短期間であなたは私より上の地位についているんですか!」
「いや、だって上が」
「高校でも私の方が先輩なのに……」
「……安月先輩って呼ばれたいわけ?」
「……寒気がします」
唐也が心持ち青い顔をしていった言葉に、みさきはむっと顔をしかめた。
「そういえば……あんたらって、飛び級だっけ」
「警視達もじゃないんですか?」
「そうだけどさ……特に星李」
「そうですよ。彼女は」
「安月君は?」
「僕は高校だけです、そういうの」
「ふ~ん……まぁいいわ。ニュース、見たんでしょ」
「見ましたし、星李からメールで聞きました」
「へぇ……仲良し夫婦ね」
「別にそうでも……」
「あら」
「彼女も僕も、プライベートがありますから」
「そう」
みさきも唐也も、これ以上突っ込んだことは聞かなかった。
「で、白城君は?」
「え?」
「そこでなんかミルクセーキすすってるけど」
「……ま、しってんじゃない?」
「玲さんと一緒に来たってことは、まぁしってんでしょうね……僕らの役目は何ですか?」
「話が早いわ。あんたらの役目……」
「嫌ですよ!かぶり物なんて絶対……っていうかこの前から何で僕ら変なことばっかりやらされてるんですか!?」
「何言ってるのよ!変なことじゃないわよ!……油揚げ」
「え」
「油揚げ?」
「そ。油揚げ、買ってきて」
「なんで!」
「今度の相手は……赤い何とかだからよ」
「……古いです、それ」
「……狐……」
「そ。だから」
「……それってもしかして……あれですか、あれ」
「そう」
「あれ?」
「……お稲荷さん……」
「だからね、相手をうまく誘導して欲しいの」
「そうですかそうですか」
「へ~……」
唐也と真は揃って脱力して、みさきはにっこり、毒のない笑顔を見せた。
「じゃ、行ってきます。3枚100円ので良いですか」
「けちくさいわね……まぁいいわ」
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「――――――身体が消えたのは……痛かったか」
そうかもしれない、とキャスリーンは思う。アレは自分のものだ。
「なにをやっているんですの?」
「あぁ……レリュー」
「また……恋しくなりましたの?」
「恋しくは……無い」
「そう……」
「レリュー」
「?」
「かつての主人の骸をそばに置きたいと思うのは、間違っているか?」
レリューがハッとしたようにこちらを見る。
驚愕の顔を浮かべて。それから、彼女の瞳は寂しそうに細められた。
「いいえ……間違っては、いないと思いますわ。ただ……私は、いつまでも恨みを忘れられないから……」
「……そうか」
「……行くのでしょう?早くしないと、人間に、また、取られてしまいますわ」
「ああ……」
キャスリーンは頷くと、その場をあとにした。
――間違っては、いない。
だから、取り返しに行く。
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「……どうでもいいけど、みさき」
「ん?」
「私達だけでやるのか、これ?」
「そうよ」
「……来たぞ?」
「じゃあ行く」
やる気のないやり取りをして、みさきと紅音は外へ出た。
地下一階には玲と星李が待機している。
4人の戦意は、微妙な所で昂揚していなかった。何故だかは分からない。
ただ、夕日がこんなにも、もの悲しげに映るから。
その光ごと、似たものをやさしく葬ってやりたくなるのかもしれない。
「油揚げです」
唐也と真が、油揚げを3枚ばらまいて、キャスリーンの行く手を塞いだ。
「私は……狐であって、狐ではない!」
「そんなこと言って……好きなんでしょ?いなり寿司」
「好きではない!」
「またまた……」
真がひらり、と油揚げを放って、白いツバメを出す。
「さすがに、ツバメを食べるのはやめてくれ」
「狐は元々肉食だっ!」
彼女はそういうと、油揚げを踏みつけて、病院の中へ入ろうとした。
「そこまでよ」
みさきが万年筆を向ける。
「万年筆?」
「ふふ、ペンは剣より強し、って知らない?」
「そういう意味で使うんじゃねぇんだよ」
「そうだっけ」
「当たり前だ!」
「ま、とにかく……地下一階には進ませないわ」
「ふざけたことを言うな……」
「だいたい、縹が6月23日と7月5日に絶対に仕事もデートも入れない理由、アンタ、知ってるでしょ」
「何?」
そんなことは初耳。
「アンタの誕生日と、命日だからよ」
みさきと紅音の後ろから、声が響く。
「私もそれを知った時、別に事故だったんだからかまわないんじゃない、って言ったわよ。そしたら、キャスリーンの死に目に会えなかった自分の、せめてもの罪滅ぼしだ、って」
「……」
「そりゃな、お前は実験台にされて、捨てられて、拾われてつかの間の愛情を貰って、そこで死んだんだろうけど……死に目に会えなかったのは恨めしいだろうけど……」
紅音の淡々とした声が響く。
「お前が思っている以上に、あいつは苦しんでたんだよ。何で携帯切ってたんだろうって。何でもう一本早い電車に乗れなかったんだろうって!」
「……」
カツン、とヒールの音が響く。
「もう、良いだろう?」
星李の声。その手に、縹の亡骸を抱えて。
「ずっと、一緒にいられるんだ、お前らは」
「……」
「生きてる以上、私達は必ず誰かと別れなきゃならないんだ。お前らはそれを自分の手で創り出した、ただそれだけだ」
「私は……誤解をしていた……?」
「おそらくは。だから、もう、いるべき場所に戻れ」
紅音が、はっきりと、小さな声で言った。
「うちの猫……アリスも、遺伝子をいじくられて、あんなでかい身体になった。それでも実験は失敗で、あいつはあわや殺されかけたんだよ」
他の種族を平気で実験台にするのは人間のエゴイズムなのか。そのあとの供養も、もはや何の意味もなさないのか。
わからない。
「それを、うちの叔父が譲って貰ったのが、あいつとの出会いだった。……私もいつ、あいつと別れるか分からない……ただ、その時は、看取ってやりたい、看取られたいと思うだけだ……縹も、きっとそうだったと思うぞ……?」
それが、飼い主の心だと思うから。
「私……は……」
「殺すことなんか、無かったのに……な」
寂しそうな紅音の瞳。それがあの日見た、縹の瞳と重なって。
「殺して……しまった……」
「……もう、未練は、ないか?」
「ああ……」
ゴーストハンターへの恨みも憎しみも、全て、どうでも良くなってしまうほど、悲しかった。
静かに、万年筆が、振り下ろされた。
―――今、あなたの傍へ、縹お嬢様―――
夕日の色は、いつの間にやら闇色に変わっていた。
つづく
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