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創作ブログ(旧『花待館』)です。 なお、当館内に掲載しております作品等については著作権を放棄しておりません。

龍霊使い10
あ゛~……すみません、お話が書き上がらないままで……。
とりあえずこのお話が……十話めですね。
スポーツ大会、ドッヂボールって恐ろしい競技なんだということに今更気付きました。いや、私応援する側だったんですが、目の前をボールが豪速球で飛んでくわ、こっちにもボールが飛んでくるわで怖かったです。

では、どうぞ。紅音がまだ出てきてませんが。

第十話 女王陛下に忠誠を4

「はい……あ……みさき!?」
モーツァルトを歌い上げる電話を取った、龍牙玲の第一声がこれだった。電話の相手のみさきの声が、やけに不機嫌そうに用件を伝える。
「なによ、そのいかにも嫌そう~な声は……どうでもいいから、アクアローズ国際総合病院の地下一階の霊安室、今すぐ来て」
「は……はぁ!?どういうことよ!」
「どういうこともこういうこともないわ。C'est du travail.(コレは仕事よ)」
「……もう……알았어요.지금 가기 때문에 충분히 기다려.(わかったわ。今行くから10分待って)」
「了解」
フランス語と韓国語の内容だけは通じ合っている会話を終えて、玲は受話器を置いた。一つ溜息を吐くと、真を起こしに寝室へ向かう。
「真、起きなさい!起きないと踏むわよ」
ベッドの上にヒールを脱いだ足を軽く乗せてそう脅しをかけると、真は面白いぐらいに素早く飛び起きた。
「おはよう」
「おはよ……ふ、ふむなよ」
「さぁね。とにかく、3分で支度しなさい」
「え?」
「出ないと置いていくわよ」
「支度します支度します」
玲の言いつけ通り3分で支度をしてのけた真を彼女は自分の車の助手席に放り込み、自分は運転席に座って車を急発進させた。
「れ……玲さん?なんでもいいんだけど、車はもうちょっと安全に運転……」
「お黙りなさい!」
―――横暴だ~……。
玲の一喝に、真は本当に泣きそうになった。

「あ、玲」
「来たわよ……紅音は?」
「出張」
「あそ」
「そんなに紅音に会いたかった?」
「……んなわけないでしょ」
ふふ、とからかうように笑うみさきに、玲はちょっと顔を赤らめてすげなく返した。
「で、なんなの?」
「仕事。電話でも言ったでしょ」
「あぁ……」
「まさか……テレビ、見てない?」
「うん」
みさきの顔から一瞬、血の気が引いたような気がした。ちなみに隣にいる星李は涼しい顔をして、診療があるから、なんて言ってさっさとその場から立ち去ってしまおうとする。
「ちょっ、ちょっと待ちなさいよ、星李」
「なんで」
「いいから」
「私は仕事があるんだ!」
「じゃあどっか話せる所確保しておいてよ!」
「知るかっ!」
「じゃあお昼まで待つわよ。病院のカフェでいいでしょ」
「い~や~だ~っ!」
星李の白衣の裾を掴んで、玲が引き留める。星李は断固拒否の態度を示していたが、もうこうなれば玲は押しの一手で、あえなく強制連行となった。
「とりあえず私は外科の診療があるから、11階のカフェテリアにでもいろ!」
「はいはい」
そう言い捨てて外科の方へ向かった星李を見送ると、3人はエレベーターに乗り込んだ。
「で、テレビ見てないってどういうこと?」
「寝てたから」
「あそ……あんたらって……」
「いや、ほんとに寝てたんだってば」
「どうだか……どうせ玲ったらピアノの練習もろくに出来てないんでしょうし……」
「やってるわよ。ていうか、そんなこと言ってると今度のチャリコン、アンタを形容するに相応しい『魔王』にするわよ」
「……それ、ソプラノの曲じゃないから!」
「じゃあソプラノで歌いなさいよ」
「玲……アンタって子は……」
みさきがそう溜息を吐いた時、エレベーターが11階についた。

「実はね……今朝のことなんだけど、地元警察から電話貰って」
「うん」
「神堂縹、知ってるでしょ?」
「え……と、あのボストン帰りのお嬢様?」
「ん」
「そう。アンタも何年か前にサックスと合わせたわよね?」
「うん」
「で、その神堂縹がどうしたんだ?」
「それが、その神堂縹の恋人が、朝の待ち合わせに来なくて、電話も通じないし、インターフォンも出ないからどうしたのかと思って合い鍵で家に入ったんですって」
「ええ」
「そうしたら、彼女が何者かに殺されていたってワケ」
「嘘っ!?」
「本当よ。司法解剖をするまでもなく、彼女の死因は絞殺による窒息死。被害者の爪から犯人のものと思われる皮膚が発見されたから、星李に見せたんだけど、人間の仕業じゃないらしくて。私が病院に着いた時にはその痕跡もなくなっていたみたいね」
「そう……」
「で、星李が来てから詳しく見せようと思ってね」
「そう」
「殺人事件とは……全く穏やかじゃないっていうか……」
「しょうがないわよ。昔っからある事象だし……だけど、文献見る限りでは18世紀くらいから29世紀くらいまでは悪霊とか生き霊の仕業ではなかったみたいね……」
「みさき……あんた、どこでそんなこと」
「国会図書館」
「へ~……」
「さて、星李も来たことだし、行きましょうか」
「え?」
「霊安室」
カフェテリアの入口には、星李がいかにも嫌そうな顔をして立っていた。

つづく
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